「うつの痛み」キャンペーンの新たなる疑惑 この連載の最初に取り上げた不適切な「うつの痛み」キャンペーンには、さらに深刻な問題があった。製薬会社2社が「うつの痛み」の根拠として用いた医師の学術論文は、実は2社が広報目的で行った調査を使用したもので、製薬会社の「自作自演」とも言える啓発活動だったのだ。 2月19日の読売新聞朝刊第3社会面で、この続報を掲載した。オリンピックや大雪の余波などのニュースで目立たず、見逃した人も多いと思うので、ここで改めて取り上げてみよう。 塩野義製薬と日本イーライリリーが行ったこのキャンペーンは、2013年秋から2014年2月初めまで続いたテレビCМのほか、インターネットサイト(一般向けと医療関係者専用サイト)や新聞広告などで展開された。 「うつ病患者の68・6%が、体の痛みがうつ病の回復を妨げると感じている」。2社がキャンペーンで強調したこれらのデータの根拠として