どうにも止まらない性欲、ブチ切れそうな怒り…人間の「ありのまま」を肯定した人類学者の「たどり着いた答え」 「人類学」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。聞いたことはあるけれど何をやっているのかわからない、という人も多いのではないだろうか。『はじめての人類学』では、この学問が生まれて100年の歴史を一掴みにできる「人類学のツボ」を紹介している。 ※本記事は奥野克巳『はじめての人類学』から抜粋・編集したものです。 欲望は止めなくていい 『マリノフスキ日記』の女性に対する記述を読むと、そこでの彼自身の恋愛に対する思いが、性愛や家族をめぐる重要な研究につながっていることが分かります。日記の内容がフィールドワークと深いところで関係しているのです。ここでは、特にそのことが顕著に現れた著作として『未開人の性生活』を取り上げてみましょう。 マリノフスキは『未開人の性生活』を以下のような