研究はとても楽しい。 ひとつには、少なくとも理屈の上ではなんでも研究できるからである。 しかし、だからこそ人は途方に暮れてしまう。いったいどこから始めたらいいのだろう。 その答えはこうだ─まさにいま、きみが立っている場所からだ。 本書の柱をなすのはふたつの命題である。 ひとつ、最初にいくつかの条件を適切にクリアすれば、研究は人生を変えるような経験になりうる。 ふたつ、研究に着手するさいに最も重要なのは、自分の中心を見つけることである。 研究とはたんに問題を解決する作業ではなく、そんな問題が存在することすらきみが そして他の人々が知らなかったような、そういう問題を見つける作業でもある。 (・・・) 自分はなにが研究したかったのか、それをきみに教えられるのはきみ自身だけ、ほかのだれでもない。 「なにを研究するか」という問いに答えるには、鏡をじっくり見つめるしかないのである。 (「はじめに」より