家族との思い出が詰まっているはずのアルバム。 ところどころ写真が抜き取られ、ぽっかりと空白があります。 「燃やしちゃったんです。全部、灰にしたかった」 自由に生きていいはずなのに、うまく生きられない。 女性が抱え続けた苦悩とは。 (宇都宮局/記者 梶原明奈) 女性の名前は、相馬朋恵さん(45)。 知的障害のある5歳下の弟がいて、長年、栃木県内で両親と一緒に弟の世話をしながら暮らしてきました。 幼いころから、相馬さんの生活の中心は、いつも弟でした。 弟はことばが話せないため、1人で外に出かけてトラブルに巻き込まれても、助けを求めることができません。 相馬さんが高校生になった時、放課後に友達と遊んでいると、帰りが遅いのを心配した弟が迎えにきたことがありました。夕食の準備をしていたはずの母が手を止めて付き添っていました。 その光景を見た相馬さんは、毎日なるべく決まった時間に家に帰り、夕食を食べ、
