『POWERS OF TWO 二人で一人の天才』(ジョシュア・ウルフ・シェンク:著、矢羽野 薫:訳/英治出版) 「三人寄れば文殊の知恵」という有名なことわざがあります。三人集まって考えれば、たとえその三人が凡人であっても文殊菩薩様が考えたような素晴らしい知恵が出るものだというたとえです。はたして、本当にそうでしょうか。三人の相性や、三人の外部との関わりは大きく「文殊の知恵」に関連しているはずです。 人と人との間に関係が生じる最小単位である「二人」に焦点を絞った『POWERS OF TWO 二人で一人の天才』(ジョシュア・ウルフ・シェンク:著、矢羽野 薫:訳/英治出版)で、歴史に名を残してきた偉人たちは決して一人でその偉業を成し遂げたわけではないと宣言することから、著者は本をスタートさせます。 問題は、孤高の天才が空想にすぎず、神話(社会的な経験に関係なく、自分の世界で完結している天才がいる