『透明な力を 災後の子どもたち』(河北新報社/東京書籍) 阪神淡路大震災、東日本大震災、その他の災害も同様に、起こった当時は大々的に報じられる。被害状況、人々の様子がありありと映し出され、目にする者の心を引きつける。しかしそれから時間が経つにつれ、どんどん人々は関心を失っていく。被災地の人々は、今でも懸命に「いつもの日常」に戻るため、必死に生き続けている。本当に映し出すべきは、被災直後ではなく、被災から立ち直る人々の現在の姿ではないだろうか。 『透明な力を 災後の子どもたち』(河北新報社/東京書籍)は、東日本大震災を生き延びた子どもたちの、災後の歳月を追ったものだ。震災の傷跡は深い。未だ消えるものではない。それでもあの日の恐怖を受け止め、必死に生きようとする彼らの姿がここに記されている。本書より、母親にも語ることなく2年半抱え続けた、ある子どもの記憶とその思いを紹介したい。 鈴木翔真君はあ