『人間はロボットよりも幸せか?』(前野隆司・保江邦夫/マキノ出版) 幸福論と言えば、通常は哲学や心理学の分野で語られるものだ。そんないわば文系の領域だとされてきた幸福論を、理系の科学者が論じたらどのような結論が導き出されるのだろうか? そんな疑問に応えるように、理論物理学者と機械工学者が幸福を論じたのが『人間はロボットよりも幸せか?』(前野隆司・保江邦夫/マキノ出版)である。 ロボットの完成度を高めるうえで、重要視されるのは「いかにロボットを人間に近づけるか」という課題だ。だが、これは繊細な動きという意味ではすでに多くの面でクリアされている。技術的に言えば、やさしく抱きしめてくれるロボットを作ることも、笑うロボットを作ることも今や可能だ。だが、ロボットのそういった行為に人間のような温かい感情や思いやりがあるかと言えば、それはない。なぜなら、ロボットはあまねくそうするように作られたプログラム