『小説の読み書き』(佐藤正午/岩波書店) 小説好きならば絶対に読んだことのある名作たち。川端康成の『雪国』、夏目漱石の『こゝろ』、太宰治の『人間失格』などの作品はそれだけ書評も数多く出回っている。しかしそれを現役の小説家が書くことは少ない。だからこそ『小説の読み書き』(佐藤正午/岩波書店)は貴重な1冊だ。直木賞作家であり書評家・作家たちを魅了し続ける佐藤正午さんが、「小説の書き方」をテーマにあの名作たちを鋭く分析している。「オトナの国語の授業」の雰囲気漂う本書の一部をほんの少しだけご紹介しよう。 川端康成の『雪国』といえば、やはり有名なあの書き出しを思い浮かべる。 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。 佐藤さんはこの「夜の底」という表現に着目している。これはいわゆる比喩法であり、このような表現に直すこともできる。 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。地面が白
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