『ローカルブックストアである 福岡ブックスキューブリック』(大井実/晶文社) 「町の人々から愛されている」というキャッチフレーズがぴったりな、福岡市内に二箇所店舗を構える書店・ブックスキューブリック。一号店の店内は十五坪(駐車スペースで四台分ほど)。 場所を示すときは、「そっち」「こっち」という言葉でじゅうぶんなスペースで、「この本は……あっちのほうにありますね」と、店員さんが口にする機会はあまりないでしょう。 開店から十五年の濃密な歴史が記された『ローカルブックストアである 福岡ブックスキューブリック』(大井実/晶文社)の中で、店の「小ささ」が生むメリットについて著者で同店店主の大井実さんはこう語っています。 たしかに、大型書店に行けば、全てのジャンルが豊富に揃っているが、忙しくて時間のない社会人にとっては、全ての売場をチェックするのは難しい。15坪という狭さのブックスキューブリックだっ