トップレビュー諦めに満ちた夫婦関係から救い出してくれたのは、ひとりの男の存在だった――。「婚外恋愛」がテーマ、村山由佳最新作の鮮烈なメッセージ 『燃える波』(村山由佳/中央公論新社) 諦め、怒り、哀しみ。ページをめくるたびに、またひとつ、またひとつとあらゆる感情の波が押し寄せては、その熱量に圧倒された。恋愛小説の名手である村山由佳さんの新刊『燃える波』(中央公論新社)を読んでいる最中のことである。 本作は、「婚外恋愛」をテーマにした、大人の女性の生き様を描いた作品だ。婚外恋愛――つまりは「不倫」という単語に置き換えられる行為だが、本作の主人公・三崎帆奈美(みさき・ほなみ)は、そのような行為に簡単に溺れてしまう女性ではない。むしろ彼女は、冷めきった夫婦関係に諦念すら抱いており、誰かに恋をするということを忘れてしまっているかのように映る。 42歳の帆奈美は現在、衣食住全般におけるスタイリングを
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