仕事に追われる日々を忘れさせる、非日常を体験できる場所はいくつかある。その中の1つが水族館だ。どこまでも広がる青い空間、水槽の中をキラキラと泳ぐ魚、来場者にひょっこり顔を出す可愛い海生哺乳類。うっとりするような非日常が水族館にはあふれている。 『水族館哲学 人生が変わる30館』(中村元/文藝春秋)は、そんな水族館の魅力を語るガイド本だ。しかし本書、ただ水族館の魅力を紹介しているわけではない。著者の中村元氏は、水族館プロデューサーという仕事をしている。人が生きる上で必要なうるおいや哲学が得られ、知的好奇心が生まれる展示を提供する、役に立つ水族館を作り上げる仕事だ。 本書は、そんな中村氏が水族館の「真の価値」を紹介する1冊なのだ。この「真の価値」とは……水族館の常識の枠を越えた「展示」。つまり「命」を最大限見せて伝えることだ。真の価値を有している水族館を、全国から30館選りすぐり、本書で紹介し