『政と源』(三浦しをん/集英社) 6月22日、三浦しをんの小説『政と源』(集英社)が文庫化される。『まほろ駅前多田便利軒』『舟を編む』『神去なあなあ日常』などのヒット作で知られる著者がこの作品で扱っているのは、家族でも恋人でもない“幼なじみ”という特別な間柄だ。 主人公は有田国政と堀源二郎という2人の老人。生まれてから73歳になる今日まで始終顔を突き合わせてきた、紛うことなき幼なじみの間柄である。 生まじめな元銀行員の国政と型破りな職人の源二郎は、性格も生き方もまるで正反対。なのになぜかウマが合い、長年行動をともにしてきた。ついでに言うと2人は見た目までが対照的で、国政がふさふさした白髪頭なのに対し、源二郎はわずかに残った髪の毛をカラフルな色に染めている。 物語の舞台は東京東部にある墨田区Y町。隅田川と荒川にはさまれた水路の町で、2人は成長し、就職して、家庭をもった。妻子のために堅実に生き