第23回小学館ノンフィクション大賞を紛糾させた異例の”自伝的ノンフィクション”『男であれず、女になれない』が、2017年3月27日(月)に発売される。 「想像してみてください」―この一言から、著者自身を取材した“自伝的ノンフィクション”である同書は始まる。「想像してみてください。あなたから性別を除いたとしたら、今のあなたをとりまく愛しいものは、どれだけ残りますか」と。 2015年3月9日、当時36才。私は、男性器を摘出した。「女になった」と言わない理由は、この選択が女性になるためじゃなく、自分になるためのものだったから。だから私は、豊胸も造膣もしないことを選んだ。「性同一性障害」という言葉が浸透して、「性はグラデーション。この世は単純に男と女には分けられない」と多くの人が理解する時代にはなったかもしれない。けれども私は自分の性別を、男にも、女にも、二つのグラデーションの中にも見つけることが