『ヒットの崩壊(講談社現代新書)』(柴那典/講談社) 音楽市場は本当に、かつての勢いを失ったのだろうか。歴史上、最もCDが売れたといわれるのは1998年だ。宇多田ヒカルや浜崎あゆみらがデビューしたこの年をピークに、音源そのものの売上げは低迷している。 日本レコード協会調べによる「音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移」を参照すると、2015年の配信版を除く売上げは2544億円で、1998年の6075億円と比較すると3531億円減。割合としては、ピーク時の40%ほどにまで落ち込んだことになる。 しかし、音楽不況の叫ばれる音楽市場において、ここ数年で伸び続けているのがライブという名の体感できる“現場”だ。ぴあ総研が公表した『2016ライブ・エンタテインメント白書』によれば、2015年に行われた音楽コンサートの市場規模は3,405億円。同白書が統計を取り始めた2000年以降の記録では過去最高で、前年