幼い子供を凄惨(せいさん)な虐待で死なせても殺人罪に問われないなんて…。一人の女性の素朴な疑問から「ひまわり署名プロジェクト」の活動は始まった。 国に報告される虐待死は毎年50〜70人にのぼる。昨年4月の松本聖香さん事件以降、殺人容疑で加害者が逮捕されたのは今年8月の大阪市西区の2幼児置き去り死事件の母親ら数例だ。 殺人容疑で逮捕されても、起訴段階で「証拠不十分」として傷害致死罪になる例も多い。育児を放棄するネグレクトなら保護責任者遺棄致死(最高刑で懲役20年)、身体的虐待なら傷害致死(同)に問われ、判決では懲役10年前後というのが最近の流れだ。 家庭の中で起きる「密室の犯罪」でもある児童虐待は、殺意の立証が難しいという事情がある。捜査関係者によると、聖香さん事件では、実母と内縁の夫の殺人罪での立件が検討されたが、最終的に保護責任者遺棄致死で起訴された。証拠が足りない殺人罪で起訴するより、