俺が物理学科で高エネルギー系の研究室にいた頃、大学4年生~修士の間に大変お世話になった先輩がいた。 先輩は博士課程の学生であり年齢は既に30を超えていた。査読付き国際会議や学会誌での採択もあったし、留学経験もあり、非常に勉強熱心で学問を愛していた人だったと思う。博士論文さえ書ければ直ぐにでも獲れたはずだと思う。それでも博士論文を書かせて貰えなかったのは、Natureかそれに準ずる学会誌への採択本数2本をなかなか達成できずにいたからだ。今の時代は、ここまで厳しくないのかもしれない。でも査読付き国際学会誌、それもインパクトファクターの高い学会誌への採択経験が1本もないままに、博論執筆の許可などおりないのは変わらないだろう。 30を超えていた先輩は指導教官から「諦めてはどうか?」という軽めのアドバイスを何度かされていた様に思う。それでも必死で戦っていた先輩には学位を取って欲しいという思いがあった