転移者たちはユートロ総督の軍勢を後から追いかけて出発した。残念ながらフォウタ湖の船旅はお預けで、ソラトにも入らず、その北方で軍勢と合流する。ソラト総督に不在をできるだけ知られないための小細工だった。 彼の兵がドウラスエに駐留していることを思えば大した効果はなくて、隣人との相互不信を強めるだけかもしれない。それよりも真琴がソラト軍指揮官のヘンリー・テナントと将棋を途中にしてきたことの方が効果がありそうだった。彼が好きなボードゲームの続きをしたければドウラスエの横取りはできない。賭け試合でヘンリーが勝ちそうな流れで中断する手の込みようであった。 「こういうのもハスラーと言うんでしょうか」とは司の弁。 ユートロ総督もソラトの同僚を信頼していないようで、ソラトを通過してからはオシナへの道を極力急いだ。フォウタにもマクィン王国の密偵はいるだろうし、敵が急報を受けて体制を整えたり援軍をえる前に都市の包
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