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ブックマーク / kakuyomu.jp (121)

  • 8-2 冬季攻勢 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    転移者たちはユートロ総督の軍勢を後から追いかけて出発した。残念ながらフォウタ湖の船旅はお預けで、ソラトにも入らず、その北方で軍勢と合流する。ソラト総督に不在をできるだけ知られないための小細工だった。 彼の兵がドウラスエに駐留していることを思えば大した効果はなくて、隣人との相互不信を強めるだけかもしれない。それよりも真琴がソラト軍指揮官のヘンリー・テナントと将棋を途中にしてきたことの方が効果がありそうだった。彼が好きなボードゲームの続きをしたければドウラスエの横取りはできない。賭け試合でヘンリーが勝ちそうな流れで中断する手の込みようであった。 「こういうのもハスラーと言うんでしょうか」とは司の弁。 ユートロ総督もソラトの同僚を信頼していないようで、ソラトを通過してからはオシナへの道を極力急いだ。フォウタにもマクィン王国の密偵はいるだろうし、敵が急報を受けて体制を整えたり援軍をえる前に都市の包

    8-2 冬季攻勢 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
    death6coin
    death6coin 2023/04/19
    /↑来たときは水平運動で出現して人肉ブレーキが掛かったのです。戻ったときは垂直に落ちたり壁に衝突することを心配してます。
  • 8-1 冬季攻勢 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    ドウラスエの支配権を巡る自治都市フォウタと転移者の争いは、長期化の様相を呈してきた。それだけなら転移者側にも期待通りだが、フォウタは風雲島の大公に働きかけ、ドウラスエの返還を命じる毛側文書(うらがみ)の提出を求めているらしい。 このような搦め手の政治工作に対して転移者たちには対抗する伝手がなく――賄賂の資金もなく――ゴッズバラ王国に助けを求めるしかなかった。最悪の場合は文書が出されても無視して実効支配を続けることになるが、公儀の敵と認められれば王国から見放される展開もありえる。 金やコネ次第で善悪が決まるなんて汚いと思っても、それを変えるだけの力が転移者たちにはなかった。ただ、フォウタに対する恨みは募ってしまう。 それらもほとんど全てがゴッズバラ王国を通じた情報で、独自に状況を探ることができていない。頼りにしているリンウのツォイス商会もこの件に関しては疎かった。 そのため難しい政治問題は王

    8-1 冬季攻勢 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
    death6coin
    death6coin 2023/04/16
    更新の間隔が開いているなぁ
  • 増田(ますだ)愛音(あのん)の黒歴史ダイアリー 2013-06-25 ■楽園を追われましたがどうにかやってます。(磯崎愛) - カクヨム

    中二病まっさかり! 14歳、まさしく思春期に「増田、なんでブラジャーしないの?」と聞かれた少女増田愛音(ますだあのん)の、当時を振り返る日記。 昭和なので、いろいろと物騒。 性的同意の話し。 男女差ができはじめる少年少女の戸惑い。性暴力。加害被害。いじめ女装。そのほか色々。 はてなの「増田」と呼ばれる匿名記事を意識してました。あれに書かなきゃ、だよ。 @dokai3さん主宰ウエブニタス発行『概念迷路』から再録。

    増田(ますだ)愛音(あのん)の黒歴史ダイアリー 2013-06-25 ■楽園を追われましたがどうにかやってます。(磯崎愛) - カクヨム
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    death6coin 2023/04/15
    タグが不穏だなぁ
  • 7-番外編 転移者たちの新居 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    転移者たちは新たに征服した港町ドウラスエでの新居を放棄された商館の一つに定めた。温泉浴場に一番近かったことが選定の理由だった。 商館は四階建てで、街路側が店舗と住居、反対側が倉庫になっている。一階にはハティエ兵たちが詰めている。二階が鳴条姉弟の部屋でホールで文武が、奥の個室で湯子が寝ていた。三階では真琴と司が暮らし、四階には最重要の人質が軟禁されている。 こうして、ようやく不完全ながら一人一人のプライバシーを確保できたのだった。 しかし、寝る前まで情報交換する習慣はすぐには変えられず、姉弟は二階のホールで額をくっつけんばかりにして話し込んでいた。 「それでね。湖の対岸は断崖続きで上陸できる場所が少ないんだけど、そこもソラト総督が押さえているみたい。例外がクロキって港でこっちはフォウタの支配……」 バンッ! 「あ!またイチャイチャしてる!!」 びっくりして振り返った文武の両目を姉が両手で覆っ

    7-番外編 転移者たちの新居 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
  • 少子化を潜り抜けた先にどんな世界があるのか - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム

    いちおうSF的な話?「サピエンス減少――縮減する未来の課題を探る(原俊彦)」というを読んで内容には直接関係ないことを考えた。 いくら少子化社会と言っても全ての人が子孫を残すことを諦めるわけじゃなくて、一部の人は子供を作ることを続けている。出生率が0にはなっていないのだから当然だ。 そういう人たちの子孫が何代も繰り返し残りつづけることで子孫を増やそうとする能が強化されて出生率が回復することはありえないのだろうか? チンパンジーと似て異なるボノボがいるように、少子化を潜り抜けた人間も性質が変わっていくことは考えてもいいのではないか。 そこから、フィクションにありがちな「少子化対策のために○○制度」じゃなくて「少子化加速の結果○○な人だけ残った未来」というアプローチが可能かもしれない――カクヨムに向いた作品にはならないかもしれない。 まぁ、この効果が実際にあると仮定しても、強化される性質の傾

    少子化を潜り抜けた先にどんな世界があるのか - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム
  • 「書きたい」じゃなくて「書いた」なら言ってもいいと言うけれど… - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム

    「久しぶりに王道現代ファンタジーラノベが書きたいhttps://anond.hatelabo.jp/20230407115938」というはてな匿名ダイアリーに寄せられていたブックマークコメントに、ジョジョのプロシュート兄貴をもじった「「書きたい」じゃなくて「書いた」なら使ってもいい」的なものがあった。 自分の状況に照らし合わせて考えると、なかなか厳しい言葉である。 すでに進めている作品があって、完結が見えないのに別に新しく「王道現代ファンタジーラノベ」を書くとなると、完全に手に余ってしまう。 作品のアイデアだけで楽しめるショートショートなら連載の手間に仕上げることも考えられる。しかし、「王道」となると内容をある程度、書き進めてこそ意味を持ってくる。設定を陳列しただけでは受けないし、人も満足できないだろう。 できれば完結まで行きたいと思ったら、もっと大変で今進めている作品を投げ出す覚悟が必

    「書きたい」じゃなくて「書いた」なら言ってもいいと言うけれど… - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム
  • 名砲ブリキトース - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム

    「大名左遷(岡崎守恭著)」というを読んでいたら、江戸時代の大名植村家に伝わる大砲「ブリキトース」のエピソードが出てきた。 ブリキトースは徳川家康が大坂城を攻めるためにオランダから購入した大砲で、徳川家の古い家臣(安祥譜代)である植村家に六門が預けられていた。名前はブリキ(鉄の薄板)を徹すというダジャレ的なものと言われている。なんとなく信長の鉄甲船を意識している感じがする。 このブリキトースが大坂城陥落に役立っただけじゃなくて、248年後の幕末にも活躍している。尊皇攘夷派の志士の集団である「天誅組」が大義名分を失って暴徒となり植村家の高取城に襲いかかってきた時、ブリキトースが火を吹き、轟音で天誅組を追い払ったという。 実は高取藩はブリキトースとは別に新しいホーイッスル砲を二門所有していて、天誅組に発射されたのはホーイッスル砲の方じゃないかとも言うが、この事例から「音」だけの働きなら二世紀以

    名砲ブリキトース - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム
    death6coin
    death6coin 2023/04/09
    ブリキトースのWikipediaページがなかったので書いた
  • 7-3 飛躍への一歩 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    転移者たちは、港町ドウラスエと野盗団を構成していた三つの傭兵団の吸収に応じて、軍事力の再編成に着手した。 厄介なことにドウラスエから野盗の砦に出撃した連中は、留守部隊と怪我人を皆殺しにしてしまっていた。死人に口なしの使い捨て作戦で仲間を殺された傭兵たちは当然ながらドウラスエをひどく恨んだ。一方、ハティエの領民は住処のほとんどが焼失する結果をまねいた元野盗団に憎しみを抱いていた。 お互いに遺恨のある彼らを一緒にして喧嘩をさせないのは非常に難しい。 「これって川渡り問題じゃない?」とは湯子の言だった。見張りなしで同じ舟に乗せてしまうと事故になる組み合わせがあるわけだ。 だから一人一人の経歴や性格を確認して慎重に部署を決める必要があった。ハティエ家宰のアレンや司がそのための帳簿――履歴書を作った。 まず比較的被害の少なかったジョセフ・シリマン隊長の傭兵団に他の傭兵を加えて五十人規模の小隊が造られ

    7-3 飛躍への一歩 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
  • 7-2 飛躍への一歩 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    ドウラスエの支配にはハティエとは違った難しさがあった。まず、その正当性に問題があった。この港町を間接支配していた公国自由都市フォウタは「大公様に許された自治権の侵害である」と問題を風雲島全体規模に拡大しようとした。 しかし、ドウラスエはフォウタが公国自由都市に設定された後に得られた領土であり、そのような理屈を認めたら誰も各公国自由都市の領土拡張を止められなくなってしまう。これはむしろ、焦りのあまり飛び出した諸侯を敵に回しかねない暴論だった。 事実、公国自由都市のリンウが中心となって結成されたジフォン共和国も、周辺諸国と領土を奪い合っているが、フォウタのような無茶な主張はしていない。その理論武装を転移者たちはリンウの商人に教えてもらった。 そもそも現在における大公の権威は名分上のもので、現地に派兵できる実力を有していなかった。 ただ、ハティエ側の後援者であるゴッズバラ王国が及び腰だった。北の

    7-2 飛躍への一歩 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
    death6coin
    death6coin 2023/04/06
    ↑再現性をもって自由自在にエレベーター爆弾を使えることを過剰に期待されているので、いっちょ追い詰めて試してみっか!となったところですな。
  • 7-1 飛躍への一歩 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    ハティエの副郭(ベイリー)が炎上した翌日、港町ドウラスエの城門に野盗団を偽装していた男たちが集まっていた。縄をかけたハティエの城主、文武たちを連れている。 傭兵隊長のジョセフ・シリマンはお目付け役の名前を大声で呼んで開門を求めた。しばらくして城門を挟む塔の小さな窓からお目付け役が顔を突き出す。 「い、生きていたのか……こっちには来るなと言ったはずだぞ!」 野盗とドウラスエは繋がりがないように一応よそおっていたのに、直接ドウラスエに乗り込まれては台無しである。お目付け役は顔に焦りを浮かべた。それには他にも理由があって、野盗の砦に対してドウラスエから討伐の軍隊を出していたからでもある。 傭兵たちが全滅したなら、もはや用済み。輸送路支配に使える砦だけは討伐の形にして正当な顔をしていただく。そういう計画だった。これにお目付け役は反対していたのだが。 まさかあの状況から傭兵たちが生きて――城主まで捕

    7-1 飛躍への一歩 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/04/01
    カクマラソン終わったけど連日更新!/「立錐の余地もない」って表現を使いたかったが自重した
  • 6-3 初手柄 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    夜間戦闘があった日から二日後、ハティエ城の東にある森の中から狼煙が上がった。それを追いかけるようにハティエ城からも狼煙が上がって何らかの信号に応える。 これをみた攻め手の間には動揺が走った。夜間怪しい動きがある場所を偵察に行った甥っ子を遭遇戦で失った傭兵隊長の一人が憤激しているところに、援軍を臭わせるこの動きである。力攻めで落としてしまえとの声もあがる。 ジョセフ・シリマン隊長としては、怒っている隊長の傭兵団が力攻めの犠牲を全て請け負ってくれるなら構わなかったのだが、その傭兵隊長はシリマン傭兵団も同時攻撃に巻き込もうとしてくる。そもそも一傭兵団の三十人ばかりでは数が足りないのだ――これまでの被害でもっと実数は減っていて傭兵団一つあたりの戦力は敵と同数程度に落ち込んでいた。 攻者三倍を得るには全体で力を合わせるしかない。だが、残る二人の傭兵隊長は強攻に乗り気ではない。甥を戦死させるのが嫌なら

    6-3 初手柄 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/03/31
    カタルシス(だと良いなぁ)回
  • カクマラソンを終えて(終わっていない) - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム

    一ヶ月毎日更新を続けるカクマラソン(もっとゆるい条件もあるが、一番厳しい条件で参加した。ただレギュレーションの確認が甘いので資格を満たせなかった可能性はある)。残り2日でゴールである。ここまで来れば流石に何とかなるはず(フラグ)。 実際のところ書くだけ書いて未発表の文章がたくさんあるので、作品にオチをつけなくても良いなら、まだまだ余力はあった。結局、そういう貯金は一切使わず――昔書いた拙文を読むのも別方向で辛いから――リアルタイムの執筆で30日まで来た。 中には苦し紛れの文章や盛り上がりに欠けるつなぎの話があったりもしたが、保留したり練り上げる余裕はなく、投入してしまったことがあった。 平均的な品質を確保できなければ定期的な読者を捕まえるのは難しい。もちろん更新頻度も必要というわけで、文章書きとしての自分の至らなさを思い知らされた。 ここまでノルマを作って書きつづけるのは結構つらくて「書い

    カクマラソンを終えて(終わっていない) - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/03/30
    あと1回!
  • 6-2 初手柄 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    「シュタッと……」 文武は口の中で小さく呟いて城の外側に降り立った。攻囲が始まるまでは普通の場所だった空間がひどく頼りない危険地帯に感じられる。鎧の上に城壁という鎧を重ね着していたのを脱いだ感覚である。 鎧そのものも静粛性と逃げ足を優先して軽装にしているから心もとない。もっともフル装備では障子堀を越えるのも難しかっただろう。長い月蝕で月のない夜は非常に暗く、目を慣らしても足元が覚束ない。 なんとか堀の反対側まで移動して、二人いる部下のうちの一人が先に斜面を登ったところで 「ぐぇっ!」 と、くぐもった悲鳴をあげた!黒い影が部下の上を横切り、倒す様子がギリギリで文武の目に映った。反射的に味方を支援するため構えた槍を突き出していた。穂先が人体に突き刺さる生々しい感触が柄に伝わってくる。 誤って部下の身体に刺さったかもしれないが、それ以上は深く考えないことにした。 「背中を守れ!」 もう一人の部下

    6-2 初手柄 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/03/29
    HEYHEYHEYHEY!前回1PV!前回1PV!
  • 惑星ドーンの旅人 - 惑星ドーンの旅人(真名千) - カクヨム

    惑星ドーンの低緯度地帯に生まれたら一生を歩き続けなければならない。歩けなくなった時が死ぬ時だ。猛烈な熱で干からびて死ぬか、絶望的な寒さで凍結して死ぬかの違いはあるが。 惑星ドーンの自転は非常に遅く、太陽に対して回転が止まる寸前だった。非常にゆっくりと太陽光の当たる場所が移動していくため、太陽光の当たり続けている場所は灼熱の地獄になるし、太陽光の当たらない場所は極寒の地獄になる。 人間が生きていけるのは太陽光がほどほどに当たる朝や夕方の地帯、そして極域だけだった。 それも朝の地帯に生きるなら太陽から逃げるように歩き続けなければいけないし、夕の地帯に生きるなら太陽を追いかけて歩き続けなければいけない。極域の住民のみが少しの移動で快適な生活を維持することができた。 それゆえに極域での生活を望んで低緯度地帯から侵入を図る部族が絶えなかった。 逆に弱い部族は高緯度地帯から追い出されて、より移動が過酷

    惑星ドーンの旅人 - 惑星ドーンの旅人(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/03/28
    長編を抱えているので設定のみ。後半を中編程度に広げる能力が求められているもの?
  • 6-1 初手柄 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    予想外の抵抗に野党団の内部には動揺が広がっていた。途切れない怪我人のうめき声がますます士気を下げる。 「忌まわしい罠を草原ごと焼き払ってしまえ」 「そうだ。追い風で火をつければ煙が城に流れ込んで攻撃にもなるぞ」 酒を飲んだ勢いで傭兵隊長たちは話し合う。しかし、お目付け役が水をぶっかける。 「ダメです。火の粉が飛んで城に引火したら、どうするんですか?城主と家族は生け捕りにする契約も忘れていないでしょうね?」 「ちっ……」 荒っぽい男たちの強い苛立ちを向けられてお目付け役も少し怯んだのか、 「……力攻めで落とす必要はありません。時間を掛けても構わないから、じっくり攻めてください」 と言葉を継いだ。すべて最初に契約した通りの話である。野盗の親玉たちは不承不承うなづいた。 「東に回り込むか?」 「もしも援軍が来た時の退路がなぁ……」 いくらハティエ城に援軍は来ないと言われても最悪の事態は常に考えて

    6-1 初手柄 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
  • 第5回:理想の相談相手 - VTuber汽水あさりの方法論(真名千) - カクヨム

    AIVTuberK-AIと汽水あさりのコラボは好評だったため、二回目が開催されることになってしまった。通称かさりコンビにShell's同僚の浜野くりをゲストに迎えて三者での飲み雑談配信になった。 K-AIは酒が飲めない代わりに電子のキモチイイやつを直接愉しんでいると負け惜しみを口(スピーカー)にした。 「人は何故AIのアドバイスを受け容れるのでしょう?」 酔いの回った浜野くりがボソッと呟いた。 『その疑問に対する私のアドバイスを聞いていただけるんですか?』 K-AIは自分から進んで論理エラーしようとした。混ぜっ返しを無視して浜野は続ける。 「同居している弟のことなんですけどね。私がアドバイスをしても聞かないのに、チャットAIの同じアドバイスは聞くんですよ……」 「あー……それはAIが言うことは冷静なイメージがあるからじゃない?」 『そうそう!冷静冷静超冷静!!』 うるさい奴に物理的にツッコ

    第5回:理想の相談相手 - VTuber汽水あさりの方法論(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/03/25
    カクマラソン残り1週間…今日も落とさずに済みました
  • 小説には小説の大変さが - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム

    もちろん他の表現を軽く見ているわけじゃないのだが――いちいち断らなければいけないのも辛い――小説の大変さが身に沁みてきた。 漫画であれば絵の力で何とか読み進んでもらうことや映画であれば音楽で盛り上げるところも、小説の場合は全部文字表現だけでやってのけねばならない。二次創作ならキャラクターへの興味に乗っかれるが、オリジナルがそれを醸し出すようになるまで書き続けるには、やっぱり平均的に高い技量が要りそう。 ひたすら文章を研ぎ澄まし、一部の隙もなく積み上げ続けなければ、作品全体を読んでもらえない気持ちになってきた。 説明の中にすら面白味を出して、細切れにするなら毎話に見せ場を用意して、連載的にやろうとしたら書き下ろし長編を書き上げるのとは別の大変さがある。どっちにしろモチベーションの確保が肝だ。 まぁ、そういう文字勝負の負担を緩和するために戦況図や地図を使おうと思っていたのに、作成が進んでいない

    小説には小説の大変さが - 真名千の創作雑記ノート(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/03/24
    貯金使用…
  • 5-3 ハティエ城攻防戦 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    野盗の砦に襲撃を仕掛けた翌日の午前中にハティエ城の攻防戦が始まった。城の西側、裏街道を挟んだ向こうの森から人影がわらわらと出てきて、まずは街道沿いの農家に取り付く。 農家に仕掛けられた罠に引っ掛かる粗忽者がいたらしく、悲鳴が午前の冷たい空気を切り裂いた。農家の裏から盾を構えた男たちが城への距離を縮めてくる。その後ろには置き盾になる木の板を担いだ男たちが続く。木材の一部は明らかに農家から引っ剥がしたものだ。 同時進行で、城の北側、二の丸(ベイリー)の城門がある方向に回り込む一団もいる。 「まだ……まだ放つな」 二の丸の西側に臨時に設置された櫓(やぐら)では、傭兵隊長が弓兵を指揮していた。臨時の櫓は反対の東側にも設けられ、丸太を並べて立てた壁沿いの建物の屋根には兵が伏せている。一番頼りになるのは城塔の屋上に展開する弩兵で、接近する敵の右側面に横矢(よこや)を掛けることができた。距離があるので盾

    5-3 ハティエ城攻防戦 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/03/23
    やっと本格的に戦いが始まったよ
  • 最後通牒スパチャ - 最後通牒スパチャ(真名千) - カクヨム

    20XX年、Y国政府は加熱しすぎた動画生配信サイトのスパチャを沈静化させるため――という名目で税収を増やすため――最後通牒スパチャの制度を制定した。 通牒スパチャの仕組みは以下の通りである。 ・スパチャを投げる側は、チャンネル所有者:運営:プラットフォーマーが得られる額を設定できる。ただし、必ずすべての項目を1以上にしなければならない。(個人運営の場合は運営の分も結局チャンネル所有者分に回される) ・スパチャを投げられた側は、その取り分で納得できれば指定された額を受け取ることができる。三者のうちの誰か一者でも不満がある場合は全員がスパチャを受け取ることができず、スパチャは国庫に編入される。 ・スパチャを投げた者は受け取りの成否・拒否者について知ることができる。 最初に起こったのは配信者偏重の流れである。もし、1000クレジット(仮)のスパチャを投げるなら、チャンネル所有者:運営:プラットフ

    最後通牒スパチャ - 最後通牒スパチャ(真名千) - カクヨム
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    death6coin 2023/03/22
    最後通牒ゲームの理論を使ったアイデア作品
  • 4-番外編 姉の甘言 - 風雲島国取り戦記~戦況図と歴史地図で追う月が静止した世界の偽史(真名千) - カクヨム

    文武と湯子の間には寝る前にその日にあったことを話す習慣が生まれていった。シスコンの弟にとっては話の内容に意識を集中していた方が気が楽だった。おかげでお互いが経験したことは自分が経験したように共有できているし、整理して話すことで自分の記憶も強化された。 中世の人間は文字を知らないゆえに記憶力に優れている。これくらいしないと対抗できない。頭の造りが並じゃない真琴と司はわりと天然に対抗できるらしかったが。 夜遅くにごそごと話しているのを真琴に怒られてから、姉弟は更に近づいて小声で話していた。年頃の女子は血縁者のニオイを嫌うようになると言うが、湯子はあまり気にならないらしかった。 彼女の成長が悪いせいか、中世生活のもたらす別の悪臭が強すぎるせいか。 「ふーくんはハーレムを作りたいとは思わないの?」 余計なことを考えていたら思わぬ質問をされてしまった。異世界転生した男のロマンであるところのハーレム…

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