ロシアがクリミアを併合して冷戦後の世界が直面する最大の試練となった「ウクライナ危機」。その端緒を探ると、ヤルタ会談で第二次大戦の結果としてソ連のスターリン首相が領土不拡大の原則を破って、北方領土とともにポーランド領だったガリツィア地方をソ連(現ウクライナ)に編入したことに行き着く。スターリン主義が生んだ悲劇にいまも国際社会は苦悩している。(岡部伸) ◇ 自国民保護を理由に武力を背景に独立国家の主権を侵害してクリミアを併合したロシアの領土強奪は国際秩序を揺るがす暴挙だ。 一方、ウクライナの新政権の正統性にもロシアなどから疑問符が付けられている。支持勢力には、ガリツィア地方(西ウクライナ)を基盤とするウクライナ民族至上主義者やナチス・ドイツに協力した国粋主義者を崇拝する反ユダヤ主義者がいるからだ。 歴史をひもとくと、ウクライナ西端のガリツィア地方はもともと、