習近平国家主席の権力基盤が強化され、中国共産党の独裁色がますます強まる中国。自由市場が発展しているにもかかわらず、なぜ人々は「新皇帝・習近平」を歓迎するのか。中国の事情に詳しい石平氏は、「中国では、いかに皇帝の暴政に苦しんでも、その後には次の皇帝が誕生してきた。習近平という新皇帝が生まれたのは、歴史的な背景からすれば当然」と言う。中国が民主化ではなく「皇帝」を求めてしまう「構造」とは――。 ※本稿は、石平『なぜ中国は民主化したくてもできないのか』(KADOKAWA)の内容を再編集したものです。 中国の近代とは「新皇帝」をつくり出すプロセスだった 2017年10月の党大会から今年3月の全人代にかけて、国家主席の任期制限を撤廃し、自らの「思想」を党の規約と憲法にまで盛り込んだ習近平は、「朕は憲法なり、朕は国家なり」というほど絶対的な独裁者としての地位を確立し、実質的な「新皇帝」となった。これか