2019/03/09IT法務 請負契約でも準委任契約でも、報酬の支払は後払が原則です。もちろん、これは任意規定(法律上のデフォルト)ですから、契約によって前払あるいは中間金ありに変更することは可能です。前払であるか後払であるかは、資金繰りに大きな違いを生じさせますが、むしろそれより大きいのがいざという時に契約当事者の交渉力に与える影響です。 支払タイミングが交渉力に与える影響 交渉力に与える影響とはどういうことか、システム開発契約が頓挫しかかっている状況を例に考えてみます。当然、このような状況では、ベンダは費用の増額などを、ユーザは開発範囲の拡大などを求めて、開発の打切りまで視野に入れた厳しい交渉がなされます。仮に開発が打ち切りとなった場合、報酬が前払であれば、ベンダは法律上わずかであれ根拠があると考えれば任意の返還を拒むでしょう。それでもユーザが返還を求めるとすれば、ユーザは費用も労