松吉 大輔 東京大学 先端科学技術研究センター DOI:10.14931/bsd.2055 原稿受付日:2012年7月10日 原稿完成日:2012年7月17日 担当編集委員:定藤 規弘(自然科学研究機構 生理学研究所 大脳皮質機能研究系) 中央実行系 (ちゅうおうじっこうけい)とは、Baddeley & Hitch (1974)[1] の提唱したワーキングメモリーモデルにおける中心的な構成概念であり、下位システムの記憶貯蔵庫(視空間スケッチパッド・音韻ループ)と相互作用して、それらの制御と情報処理を行う認知システムである。 現在の課題要求に応じて、注意のスイッチングや、必要な情報の更新などの認知制御を行い、目標志向的行動を支えていると考えられている。近年、研究が進む実行機能 (executive function) の元となった概念である。 Baddeleyのモデル 中央実行系の基本的な機