質問は「ピアノの音は瞬時に減衰していくのに無数に並ぶと曲となり、人の心に残る。一方、人間の身体は細胞が絶えず入れ替わるのに自我は続く。変化するものとしないものが同時にあるのはなぜか、時間が鍵なのか」というものですね。とても良い問いだと思います。 僕の答えを一言で言えば、生命も芸術も「壊れながら作り続ける流れそのもの」が実体だ、ということになります。福岡伸一さんの「動的平衡」という概念が参考になります。海辺の砂の城をイメージしてください。波で崩れながら、内側から砂が補給されて形を保つ。生命もまさにこれで、細胞や分子は古いものから壊れ落ちる方が先、そこへ新しい材料が流れ込み続けるので、見かけは同じ「私」が存続します。 昔からある「テセウスの船」のパラドックスも同じ話です。部品を総取り替えした船は元の船と同じなのか。答えは「同じでもあり違ってもある」。個々の部品に注目すれば別物、しかし配置と関係

