『あしたのジョー』から受け継いだテーマ 50年以上も前に連載が始まった『あしたのジョー』を原案とした『メガロボクス』が、なぜこうも高い評価を受けているのだろうか。その最大の理由は、『メガロボクス』の物語に、時代と国境を越えて共有されるテーマとメッセージが込められていたことだろう。『メガロボクス』は、長期連載で展開された『あしたのジョー』の物語から最も重要で根元的なテーマを抽出し、全く異なる設定の中で描き直したのだ。 『あしたのジョー』で描かれた「あした」 その日暮らしの青年の物語 両作に通底するテーマは、「あした」という概念だ。『あしたのジョー』で綴られた物語は、ドヤ街で喧嘩や盗みに明け暮れ、その日暮らしの生活を送っていた矢吹丈の成長の物語であった。少年院に入った矢吹丈は、永遠のライバルとなる力石徹と出会い、ボクシングにのめり込んでいく。丈の才能に惚れ込んだ元プロボクサーの丹下段平による指