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ブックマーク / note.com/horishinb (16)

  • 「日本は解雇規制が厳しい」というのはウソだった件|弁護士ほり

    解雇規制は国際的に見て厳しいの? 日解雇規制は厳しすぎるとか、解雇規制を緩和して雇用を流動化させなければならないなどという言説はすっかりおなじみになっています。(もちろん恣意的に何でも解雇できるわけがなく、労働契約法16条により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効とされています。) ただ全般的にいって、日当に「解雇規制」が厳しいのでしょうか? まず以下のリンク先が作成してみた2019年のデータによれば、OECDの基準で見ると、日は総合的にみて主要48ヶ国のうち解雇しにくい順番に並べると28位であり、真ん中よりはむしろ解雇しやすい方に寄っています。 日より解雇しにくい国としては、オランダ、ベルギー、イタリア、フランス、スウェーデン、ノルウェー、ドイツなどがあり、日より解雇しやすい国としては、イギリス、カナダ、オーストラリア、(予想ど

    「日本は解雇規制が厳しい」というのはウソだった件|弁護士ほり
  • 女系天皇がダメだという主張には説得力がない件|弁護士ほり

    女系天皇と皇位継承議論 皇位継承問題でたびたび議論にあがるのが、「女系天皇」の問題です。 この「女系天皇」という言葉の定義も細かくいうといろいろな議論になるのですが、ここでは「母親の方でしか天皇・皇族に血がつながらない天皇」「父親の系統(男系)を遡っていっても過去の天皇につながらない天皇」という意味で使うことにします。(「非男系天皇」という方が正確かも知れません。) わかりやすくいうと、女性天皇が一般男性と結婚して、その子が天皇になるとしたら、この意味での「女系天皇」ですが、この意味での女系天皇は、過去に一人も存在したことはありません。 また現在の皇室典範でも、 第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。として、さらに女性皇族が一般男性と結婚したら皇族の身分から離れることとしているので、女系天皇は認められていないことになります。(それ以前に、女性の天皇も現在の制度では認めて

    女系天皇がダメだという主張には説得力がない件|弁護士ほり
  • ラムザイヤー教授の「従軍慰安婦」の論文の主張ってどんな内容なの?|弁護士ほり

    議論を呼ぶラムザイヤー教授の論文 いわゆる「従軍慰安婦」問題について、ハーヴァード大学のラムザイヤー教授が発表した論文が議論を呼んでいますが、一体どのような内容なのでしょうか。 その全文は、次のリンク先で見ることができます。 https://news.yahoo.co.jp/byline/takeuchikan/20210225-00224442/ 私はこの分野の専門家でも何でもありませんが、ラムザイヤー論文を自分なりに読んでみたところ、一応何を言わんとしているかくらいは理解できたように思いますので、以下、主だった論点を整理してご紹介することにします。 なお後述のとおり、ラムザイヤー教授は歴史学者ではなく、「法と経済学」という法学と経済学にまたがる分野の研究者です。 ラムザイヤー論文の主張の中核の部分  主張の中核的な部分を要約してみると、おおむね次のとおりでしょう。 ①当事者の女性たちは

    ラムザイヤー教授の「従軍慰安婦」の論文の主張ってどんな内容なの?|弁護士ほり
  • 自民の改憲案が通ると、いったい何がどうなるの?|弁護士ほり

    コロナ危機に乗じて改憲案を持ち出したがる自民の政治家 ひとつ前の記事では「今の憲法ではコロナ対策のための私権制限ができないから、改憲しなければ」という主張がデタラメであることを説明しました。 それはともかくとしても、コロナ対策と改憲を結びつけたがる議論が自民党政治家からよく出てくるのは事実です。 自民党はこれまで様々な改憲の提案をしてきました。このうち最も新しいのが、2018年に作成した改憲議論のための「たたき台素案」です。(2012年の憲法改正草案が非常に有名ですが、これとは別のもので、これよりは変更内容が限定されたものです。) この「たたき台素案」についてもこのnoteでは過去に何度か触れてきましたが、憲法記念日ということもあり、またコロナ危機に便乗した粗悪な改憲論も目立ってきていますので、きわめて簡単にわかりやすく、改めてその問題点を説明しておきます。 国会抜きで政権が刑罰条項を勝

    自民の改憲案が通ると、いったい何がどうなるの?|弁護士ほり
  • 「多様性の尊重」というスローガンは捨てた方が良い件|弁護士ほり

    やたらと使われる「多様性の尊重」現在、「多様性の尊重」というスローガンは、政府の文書から個人の会話まで、至るところで目につくようになっています。経済、雇用、福祉、教育その他、あらゆる分野で「多様性の尊重」という言葉が使われるようになりました。 これについて今回の記事では、この「多様性の尊重」というスローガン自体に重大な問題があり、むやみに使わない方が良いということを説明します。(念のためいうと、「多様性を尊重すること自体がいけない」という真逆の主張をしたいというわけではありません。) 多様な「状態」を尊重すれば良いのか?まず言葉そのものを眺めてみましょう。「多様性」を「尊重」するというわけですから、当たり前の話ですがここで尊重すべきとされているのは「多様性」です。「多様性」とは物事の性質とか状態ですから、結局は何らかの性質や状態を尊重しろと言っているわけです。 学校の制服問題で考えてみる一

    「多様性の尊重」というスローガンは捨てた方が良い件|弁護士ほり
    dimitrygorodok
    dimitrygorodok 2020/09/21
    思えば「我が国の伝統に則ったやり方だ」と言って人権軽視する開発独裁国みたいなの沢山見てきたっけ。
  • コロナウイルス危機と憲法(1)|弁護士ほり

    日刊サイゾーの緊急事態宣言インタビュー 4月15日の日刊サイゾーで私がインタビューを受けた記事が掲載されました。 この中で私は、コロナウイルスの危機と憲法の関係で、緊急事態宣言を行っても強い手段を取れないのは憲法のせいではない、と述べています。 コロナ危機になってからのメディアや政治家の論調を見てみると、「憲法のせいで、社会が危機に陥っても強い手段が取れない」という意見がみられるようになり、「憲法を改正して、(憲法上の)緊急事態宣言ができるようにするべきだ」とさえ叫ぶ人もいます。 今回は、日刊サイゾーのインタビューで語り切れなかったことを含めて、「コロナ危機への対処の問題は憲法のせいではない」ということについて説明しましょう。 「私権の制限はできない」というデマまず細かい議論に入る前に、 「今の憲法では、コロナ危機で緊急事態宣言を発しても、私権を制限することはできず、自粛要請しかできない。

    コロナウイルス危機と憲法(1)|弁護士ほり
  • どこがいけなかったの?大日本帝国憲法|弁護士ほり

    はじめに このnoteでは憲法について話題にすることも多いのですが、今回は大日帝国憲法について考えてみましょう。 1889年に発布された大日帝国憲法は、1946年に現在の日国憲法によって取って代わられるまで60年近く存続し、戦前の大日帝国の骨格となっていました。 現在の日国憲法を様々な観点から批判する論者もいますが(その大半は9条の戦争放棄と防衛問題の論点についてのものです)、さすがに「大日帝国憲法の方が日国憲法よりも優れている」と主張する人は超少数派でしょう。時代の制約もあったでしょうが、大日帝国憲法(以下、「帝国憲法」)には多くの重大な欠陥がありました。 この記事では、帝国憲法の問題点すべてを取り上げることはできませんが、大きな論点をいくつか検討してみることにします。 国民は臣民、その権利は? まず帝国憲法では、国民の権利についてどのように決めていたでしょうか。第二章「

    どこがいけなかったの?大日本帝国憲法|弁護士ほり
    dimitrygorodok
    dimitrygorodok 2019/09/13
    その気になれば好きなだけ国民の首を絞められる様になっているのを自由があるとか安心して暮らせるとか言って良いのは統治機構の上層部の人間だけ。
  • 戦後のドイツの憲法も「押しつけ」だったの?|弁護士ほり

    (写真は戦後のドイツ連邦共和国初代首相で、基法制定時に制定審議会議長も務めたアデナウアー) (By Bundesarchiv, B 145 Bild-107546 / CC BY-SA 3.0 DE, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5448118) 「押しつけ憲法論」と日ドイツ 太平洋戦争に敗戦した後に連合国に占領された下で制定された日国憲法について「押しつけ憲法」論があることはご存知のとおりです。この問題については以前、下記の記事でも触れました。 日国憲法の中の「押しつけ」でない部分とは? そこで気になるのは、日と同様に連合国に負けた側のドイツの場合はどうだったのかということです。ドイツも日と同じような感じで、新たな憲法を「押しつけ」られたのでしょうか? ドイツはどうだったの

    戦後のドイツの憲法も「押しつけ」だったの?|弁護士ほり
  • 自民党の改憲「たたき台素案」には致命的な欠陥があった件|弁護士ほり

    全体の要点 自民党が憲法改正について(2012年の草案とは別に)2018年に公表した、憲法改正に関する「たたき台素案」によれば ①内閣が一存で、国会の審議抜きで、法律と同じ効力を持つ政令を定めることができ、これによって、例えば官庁組織を自由に設立したり、刑罰を定めることもできる。条文上は、有効な歯止めは存在しない。 ②国会議員の任期を無限に延長することができ、内閣総理大臣も終身在任とすることができる。 はじめに - 自民党の改憲「たたき台素案」 2012年に自民党が作成した憲法改正の草案の緊急事態条項については、過去のnote記事で批判的な検討を行ってきました。 ただ現在は、自民党はこの2012年改憲草案には必ずしもこだわらず、改憲を提案する項目を簡略化・縮小した4項目の「たたき台素案」を2018年にまとめて公表し、国会での議論を求めています。(ただし、上記の2012年改憲草案を正式に撤回

    自民党の改憲「たたき台素案」には致命的な欠陥があった件|弁護士ほり
  • 「おっさん」叩きの記事が炎上するようになった理由は?|弁護士ほり

    各種「おっさん」叩き記事でいう「おっさん」の意味 先日の記事の考察の続きです。まず「おっさん」叩きの例として、いろいろ取沙汰された言説の2つの例を、もう一度示しておきます。 前回考察したように、これらの記事や広告でいう「おっさん」とは、単なる「中高年男性」という意味ではなく、「企業組織で管理職など一定の地位・職能についている中高年男性」を意味することは言うまでもありません。 そもそも「中高年男性=おっさんは、一定の地位についているのが当たり前だ」という概念がまず先にあって、そこから「いちいち補足説明しなくても、『おっさん』といえば、そういう地位にある男性のことだとわかるだろう」という暗黙の了解が成り立ってきたということが言えるでしょう。 結局「おっさん」は「組織の管理職」の代名詞 「おっさんは、古い価値観に凝り固まり、階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る」 とか 「おっ

    「おっさん」叩きの記事が炎上するようになった理由は?|弁護士ほり
  • 弁護士ほり|note

    自民の改憲案で緊急事態条項を作ると、政府が刑罰を自分で勝手に作れてしまう件 はじめに  (2023.4.6追記 これは2022年の参院選前に書いた記事ですが、再掲します) 憲法改正と緊急事態条項の問題は、このnoteでたびたび触れてきましたが、今回は選挙前ということもあり、テーマを一点にしぼって簡単に解説をします。 自民党の改憲案(2012年の改憲草案と2018年の「たたき台」がありますが、どちらでも記事の論点では結果的に同じ)が実現した場合、政府(内閣)が、自分で勝手に刑罰を作ることができるようになります。以下、簡単に説明しましょう。 規制

    弁護士ほり|note
  • メディアの「おっさんバッシング」が、おっさん差別ではなく、実はおっさん支配の反映だった件|弁護士ほり

    はじめに 前回の記事では、いわゆる「かわいそうランキング」または「かわいそうリスト」で「おっさん」が(若い)「女性」に比べて低い位置づけにあるという問題について検討しました。 そのうえで、いろいろな事件・事故の報道で「若い女性」が「おっさん」よりも同情され派手に取扱われているのは、「おっさん」が差別されているからではなく、逆に他ならぬ「おっさん」自身が、「おっさん」よりも「若い女性」の報道の方に興味があるからだろうという結論を示したところです。 これは事件や事故の報道の話でしたが、それはそれとして一般論として、「現代の社会では、全体的にいって『おっさん』に対する不当な差別が行われている」という意見も最近は有力になっています。 結論からいうと、私はこれも極めて疑わしいと思っているのですが、まずは手順を踏んで考えてみましょう。 「おっさん」に対する否定的な評価 「おっさん差別がある」と主張する

    メディアの「おっさんバッシング」が、おっさん差別ではなく、実はおっさん支配の反映だった件|弁護士ほり
  • 「かわいそうランキング」って、「おっさん差別」なんですか?|弁護士ほり

    いわゆる「かわいそうリスト」または「かわいそうランキング」 最近は、「かわいそうリスト」または「かわいそうランキング」という言葉(ネットスラング?)が割と使われるようになっています。これは事件・事故や社会的な不正などの被害を受ける立場の人間の中でも、世間一般に(主としてメディアの取り上げ方で)同情のされ方に違いがあるということです。例えば「小さな子どもが何かの被害者になると同情されやすい」などと言われています。 「おっさん」が最下位で差別されているのか? 論者によって違いはあるでしょうが、一般には「子ども」「女性」が上位で、「中高年男性」=「おっさん」が下位(「おっさんが最下位だ」という人もいます)とされているようです。 さらには「おっさんが事件や事故の被害を受けても、誰も騒がない。おっさん差別が行われている」と主張する意見も見受けられます。果たしてどうなのでしょうか。具体的に考えてみるこ

    「かわいそうランキング」って、「おっさん差別」なんですか?|弁護士ほり
  • 百田尚樹『日本国紀』が書けなかった日本近代史の真実とは?|弁護士ほり

    はじめに:『日国紀』が触れたがらない歴史の真実とは何か?(冒頭イラスト:筆者。下手くそですみません) 幻冬舎の社長と作家の津原泰水さんのトラブルが発端となって、再びあの『日国紀』がメディアに注目されるようになりました。著者の百田尚樹氏によるこの書籍についての説明を、珍しいことに朝日新聞が載せたりもしています。 私は『日国紀』に対していろいろな面で批判的なのですが、このnoteでは、『日国紀』の内容の誤りや流用などの問題よりも、むしろ、「『日国紀』が何について書いていないか」という問題について幾度も簡単に触れてきました。 ・百田尚樹『日国紀』のホンネは“戦後改悪史観”をばらまくこと? ・『日国紀』が隠蔽する不都合な真実! ・百田尚樹『日国紀』で北方領土問題がまるで無かったような扱いに なっている件 『日国紀』は、日の近現代史上の多くの重要な出来事について、なぜか無視して、

    百田尚樹『日本国紀』が書けなかった日本近代史の真実とは?|弁護士ほり
  • 【シリーズ企画】「右」から見える世界、「左」から見える世界(1)国家権力について|弁護士ほり

    先日の記事の「日で「右」と「左」が噛み合わない理由をわかりやすくイラストにしてみた」は、おかげさまをもちまして意外と好評を呼んだようです。 そこでシリーズ企画として、手のあいた時に(素人絵ですが)イラストでどんどん発表していくことにしました。 (先日も書きましたが、筆者自身は「中立」とか「中道」とか「どっちもどっち」というスタンスではありません。どの立場の方が見てもできるだけ楽しめるようにという配慮はするつもりですが、筆者なりの価値観の反映は当然あるでしょう。) 今回は、「国家権力」というものが、「右」側から見た場合と、「左」側から見た場合で、どれだけ違って見えるのかをイラストにしてみました。煩わしさを避けるため、詳しい解説はつけていません。 1 「右」から見える世界 2 「左」から見える世界 なお、どちらかといえば右派的な立場の人から、「日の左派の人は、どうして国防や国家権力というも

    【シリーズ企画】「右」から見える世界、「左」から見える世界(1)国家権力について|弁護士ほり
  • 日本で「右」と「左」が噛み合わない理由をわかりやすくイラストにしてみた|弁護士ほり

    はじめに 日で思想的な立場の「右」と「左」で話が噛み合わないと感じられる要因の一つは、「国家の原点」についてのイメージが共有されていないという点があると考えられます。 細かい理屈は抜きにして、今回はこれをわかりやすく(下手くそな殴り書きの)イラストでまとめてみましたので、ご覧ください。 アメリカの場合 まずアメリカの場合はどうか。右も左も、国家の原点はアメリカ独立革命というか、独立宣言であるということについては認識が共有できているのではないでしょうか。(星条旗の絵がいい加減ですが、ご容赦を。) フランスの場合 お次はフランスです。フランスで右も左も共有できている国家の原点といえば、やはりフランス革命でしょう。もちろんフランス革命より前にもフランス王国があったのですが、それは「前史」のような感じで、やはり現代につらなる国家の原点をフランス革命に置くという点は、左右問わず共有されていると思わ

    日本で「右」と「左」が噛み合わない理由をわかりやすくイラストにしてみた|弁護士ほり
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