「富士山さんは思春期」1~3巻 人形としてのカンバ視点 双葉社 アクションコミックス オジロマコト 身長181センチの中学二年生の女子バレー部のエース・富士山(ふじやま)の挙措がかわいいこの作品には常に違和感が付きまとっている。うん、富士山さんの可愛らしい表情や艶やかな肢体や豊満な躯体だけを見ているだけでも十分に楽しい。みんなに内緒で幼馴染の身長160センチの上場(かんば)と交際を始めたことから様々な彼女の姿を捉え続ける演出も面白い。彼女のいろいろを引き出し続ける存在として物語の主語を担う上場の活躍・彼の内面の言葉は冒頭から読者の代理然と機能してもいるだろう。けれども、何かしっくりこないのである。何故だろうか。 本作の構図の多くを担っている上場の視点は、富士山さんをいろいろな角度から描く動機付けになっている。第1話の下乳から始まった上場の意識は、こっそり彼女を見る視点がそのまま読者自身に