「とまれ」には、「止まれ」という意味と、「とまれ(ともあれ)」=「ともかくとして」という意味が、掛けられている。いわゆる掛詞だ。「かくもあれ」は、「〇〇もこのようであれ、あってほしい」という意味。したがって掲句は「何はともあれ、蝶々よ止まれ。世の中も、このようであれ」という意味に解釈できる。「蝶々」の生き方は、ごくごくシンプルである。飛びたいときに飛び、止まりたいときに止まり、腹が空いたら蜜を吸い、喉が乾いたら水を飲み、成熟したら子孫を残し、時が来たら死んでゆく。ただそれだけの生である。それを、「蝶々」は黙って受け容れ、短い一生を何の不満もなく死んでゆく。人間も自然界の構成員の一人である以上、「蝶々」のようにシンプルに生きられれば、本来はそれで十分なはず。なのに、遊び心が足りないせいか、ついつい思い通りにならないことを愚痴り、不満たらたらで、「蝶々」よりはるかに長い寿命の大半を、眉間にしわ
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