年末に偶然出会ったパヴィチの『ハザール事典』を読んでから、中東欧文学にどっぷりとハマっています。『ハザール事典』のように独創的で、想像力に溢れ、スリリングなほどのアカデミックな刺激に満ちた作品が生まれたのは、『七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家』と形容されたユーゴスラビアの多元的な文化によるところも大きいのかな、なんて分かったようなことを思ってから、っていうか、すごくないこのトラブルの匂いしかしないミックス具合!? 突然勝手に国が分割されたり、地図上から消されたり、ナチズムによるホロコーストが起こったと思えば共産主義者が戦車に乗ってやって来たり、果てには民族浄化まで起こったり……と、中東欧といえばやはりその悲惨な歴史が頭に浮かび、そんな国々に生まれた作家が書く小説はひたすら単調で陰鬱で救いがない地味な作品が多そう、という勝手なイメージを抱い