最大震度7を観測した北海道胆振(いぶり)東部地震から2カ月余り。寝静まった北の大地を襲った大地震では、離島を除く北海道全域で295万戸が停電するブラックアウトが発生した。市民生活を大混乱に陥れた日本初のブラックアウトは、なぜ起きたのか。どんな教訓が得られるのだろうか。(長崎潤一郎) 苫東火力が停止、需給崩れる 9月6日午前3時8分、札幌市内の自宅マンションで就寝中だった私は、突き上げるような強い揺れで跳び起きた。リビングの照明とテレビをつけ、スマートフォンで情報をチェックしていると、ほどなくして室内は真っ暗になった。 マンションのエレベーターも止まっていた。薄暗い階段を9階から1階まで下りたが、入り口の自動ドアが開かない。通用口から外に出て、約3キロ離れた会社に自転車で向かった。 200万人が暮らす札幌市内では、道路の信号機が消え、一部の交差点では警察官が手信号で交通整理にあたった。鉄道や