フィラデルフィアを活動拠点とするウラ(ウラ・ストラウス)は、ここ数年のアンビエント・ミュージック・シーンを振り返るとき、欠かすことのできない重要なアーティストである。 ウラはセンセーショナルな「新進気鋭のアーティスト」として華々しく登場したわけではない。10年代末期にマイナー・レーベルからひっそりと作品をリリースし、そのサウンドの魅力によって、いつのまにか多くのリスナーを獲得していったのだ。そして今や2020年代を担うアーティストの一人にまでなった。本当にすごいことだと思う。 2022年にリリースされた新作『Foam』では、これまでのアンビエント/ドローンを基調としたサウンドから脱して、ループとグリッチ・ノイズをミックスするエレクトロニカへと変化した。その音はアコースティックとグリッチ・ノイズが交錯する00年代エレクトロニカ・リヴァイヴァルのようでもあり、心を沈静するようなミニマル・ミュー