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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (35)

  • ビル・ゲイツが絶賛しオバマ前大統領が楽しんだ本格宇宙SF──『七人のイヴ Ⅰ』 - 基本読書

    七人のイヴ ? (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者: ニール・スティーヴンスン,日暮雅通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/06/19メディア: 新書この商品を含むブログを見るサイバーパンクの傑作として名高い『スノウ・クラッシュ』、ナノテクの発達によって変容した文明社会を描き出す『ダイヤモンド・エイジ』などでその名を世界に轟かせたニール・スティーヴンスンによる格宇宙SFがこの『七人のイヴ』である。 早川書房からのリリース文では『マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが「思考を喚起する圧倒的な面白さ」と自身のブログで絶賛。また、任期中のオバマ前大統領が夏に楽しんだ1冊だと公表したことでも話題となった全米ベストセラーです。』とあり、え、それは当にSFなの? と疑問に思ったぐらいだったが、月が突如として7つに分裂して以後の、人類の存亡をかけたサバイバルを描く純然たる傑作(今のとこ

    ビル・ゲイツが絶賛しオバマ前大統領が楽しんだ本格宇宙SF──『七人のイヴ Ⅰ』 - 基本読書
    dowhile
    dowhile 2018/06/20
    電書まだか
  • 奴隷少女は逃げる、どこまでも続く地下鉄道にのって──『地下鉄道』 - 基本読書

    地下鉄道 作者: コルソンホワイトヘッド,Colson Whitehead,谷崎由依出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/12/06メディア: 単行この商品を含むブログを見るコルソン・ホワイトヘッドによる書『地下鉄道』はピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞など無数の受賞している大ヒット作。読んだ人たちの評判は軒並み絶賛でもともと気になっていたのだけれども、決め手となったのは基的にSF小説へと与えられるアーサー・C・クラーク賞を受賞していることだ。 あらすじを一見したところ、物語の舞台は19世紀初頭だし、中心となるのは黒人奴隷の少女コーラの逃亡劇で、まったくSFらしくはない。で、読み始めみれば、筆致は軽やかで美しく、無数の視点から黒人奴隷がまだまだ一般的だった時代の情景が、心情が、価値観が、矛盾が描き出されていき、それでいて読むのが辛いでもなく、ひたすらおも

    奴隷少女は逃げる、どこまでも続く地下鉄道にのって──『地下鉄道』 - 基本読書
  • ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作の、植物都市SF──『コルヌトピア』 - 基本読書

    コルヌトピア 作者: 津久井五月出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/11/21メディア: 単行この商品を含むブログを見る書『コルヌトピア』は第五回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作二作の内の一作。180ページあまりの短めの長篇で、欠点といえるようなものも挙げられるけれども、破綻なくまとまっており、書で示されるヴィジョンと才能は紛うことなき物だ。大賞のうちのもう一作『構造素子』がデビュー作にして練りに練られたいきなりの傑作であることを考えると、こちらの方がむしろ新人のデビュー作らしいとはいえる。 都市の情景の素晴らしさ 物語の舞台となるのは、植物の細胞で情報を読み書きできる技術の発明によって、植物コンピュータが生まれた2084年の未来。計算能力の高さはそのまま莫大なアドバンテージに繋がる。研究は進み、地中に埋設した連絡根毛によって植生を電気的に接続し、植生全体を環境センサを

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  • チャイナ・ミエヴィルによる”革命”の物語──『オクトーバー: 物語ロシア革命』 - 基本読書

    オクトーバー: 物語ロシア革命 (単行) 作者: チャイナ・ミエヴィル,松剛史出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2017/10/05メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る書『オクトーバー: 物語ロシア革命』は、SF・ファンタジィを軸とした奇想、奇作よりの小説家として知られるミエヴィルによる、ロシア革命の物語である。読み始める前は、小説じゃないのか〜と今いちノリきれなかったのだけども、読み始めてみればイントロダクションからして完全無欠にミエヴィルの”物語”に仕上がっている。 題材である1917年のロシアの、動乱に次ぐ動乱、混沌とした蜂起、現実に存在するとは思えないほど特異な人物たちのおもしろさも相まって、結末のわかっている歴史にもかかわらず、ミエヴィルの小説を読むようにしてドキドキしながら最後まで読み切ってしまった。小説家ミエヴィルのファンにも一点の曇なく薦められ

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  • "人間性の限界を受けいれる"か、"可能性の力を歓迎する"か──『ネクサス』 - 基本読書

    ネクサス(上) (ハヤカワ文庫SF) 作者: ラメズナム,Rey.Hori,中原尚哉出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログを見るネクサス(下) (ハヤカワ文庫SF) 作者: ラメズナム,Rey.Hori,中原尚哉出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログを見る科学技術の発展によって人間の在り方が大きく変わりつつある。たとえば今年の6月に出た『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』は失明した人の視力回復など失われた機能の復元だけではなく、記憶力強化、臓器の代替、認識力の強化などエンハンスメントの領域に踏み込みつつある状況が語られている。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp ブレインマシンインタフェース技術を使えば、脳で考えただけ

    "人間性の限界を受けいれる"か、"可能性の力を歓迎する"か──『ネクサス』 - 基本読書
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    dowhile 2017/09/30
  • シンギュラリティ神話への警鐘──『そろそろ、人工知能の真実を話そう』 - 基本読書

    そろそろ、人工知能の真実を話そう 作者: ジャン=ガブリエルガナシア,伊藤直子,小林重裕出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/05/26メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る技術的特異点(シンギュラリティ)という概念がある。簡単に言ってしまえば人工知能などの知性が人間を超えた時、そいつらが人間を超えた速度でまた技術を加速させ、それがまた変化を加速させるので、あるポイントを超えたらあっという間にわけがわからないぐらい科学は進化し我々の目の前に広がる状況は一変するという話である。 たとえば人間は意識をアップロードして事実上の不死を獲得して環境の改変、宇宙への旅立ち、身体の改造などなんでもござれの状況になるとされている。で、日人の多くは「そんなことあったらいいっすねハハハ」ぐらいの冗談半分の物なんじゃないのかなと時折ニュースを読む限りでは思うが、これについて結構

    シンギュラリティ神話への警鐘──『そろそろ、人工知能の真実を話そう』 - 基本読書
    dowhile
    dowhile 2017/05/29
    前も誰かが言ってたが特異点論者は大体みんな到来を自分の寿命間近に設定している。ガンや老衰になっても特異点というパライソがなんとかしてくれるというのがとてもウケるからね
  • 魔術世界×プログラマ×中東──『無限の書』 - 基本読書

    無限の書 (創元海外SF叢書) 作者: G・ウィロー・ウィルソン,引地渉,鍛治靖子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/02/27メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る飛び抜けた海外SFが現れたものだ。世界幻想文学大賞を受賞した書は、中東の専制国家である〈シティ〉を舞台として、若きプログラマが世界を変えうる力を持つ書を手に入れてしまい、大きな騒動に巻き込まれていくSFファンタジィである。 中東を舞台にしたSF 中東を舞台にしたSFは珍しく、まずそれがおもしろい。 中東での女性の地位の低さの問題。宗教的なものから風刺的なものまで徹底的なネットへの監視体制を敷くことができる検閲局の技術力と、まともな郵便システムさえも整っていない伝統と革新がごた混ぜになった状況。血縁をめぐる問題、西洋への意識──などなど、中東でなければ出てこない問題意識がてんこ盛りで、それが見事

    魔術世界×プログラマ×中東──『無限の書』 - 基本読書
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    dowhile 2017/03/07
  • 文明がもたらした危機──『人体600万年史:科学が明かす進化・健康・疾病』 - 基本読書

    人体600万年史(上):科学が明かす進化・健康・疾病 作者: ダニエル・E・リーバーマン,塩原通緒出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/18メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る人体600万年史(下):科学が明かす進化・健康・疾病 作者: ダニエル・E・リーバーマン,塩原通緒出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/18メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る読み始める前はちょっと疑っていたんだけど、丹念に人体の歴史と文明の発展をおい、それが我々の身体にどのような利益と危険をもたらしたのかを解説してくれる良書だ。書は、人体がたどってきた歴史を「なぜ立ち上がったのか」「そもそも最初の人類は何か」「何がネアンデルタール絶滅させ、ホモ・サピエンスを生きながらえさせたのか」を根的に解き明かし、人体がたどってきた歴史が現在の文化とミス

    文明がもたらした危機──『人体600万年史:科学が明かす進化・健康・疾病』 - 基本読書
  • 時は遁走し、すべては過ぎ去っていく──『タタール人の砂漠』 by ディーノ・ブッツァーティ - 基本読書

    タタール人の砂漠 (岩波文庫) 作者: ブッツァーティ,脇功出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/04/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (22件) を見るまるで人生そのものの時の移ろいを小説へと移し変えたような作品だ。ぼんやりとしているとあっという間に時は遁走し、過ぎ去っていってしまう。一度去っていったものは決して返ってくることはなく、ただ懐かしむことしかできない。 書『タタール人の砂漠』はイタリア人の著者ディーノ・ブッツァーティによる長編小説作品。イタリアの文学作家としてはイタロ・カルヴィーノと並んで評されることも多い作家の代表作だ。物語の主人公ジョヴァンニ・ドローゴは、若くして、町から遠く離れ娯楽もない辺境の国境警備職をあてがわれる。目の前に広がる砂漠からはいつか敵が来襲するかもしれないと言われているが、その兆候は微塵もなく「備え」である彼らは無為に砂漠を見続ける

    時は遁走し、すべては過ぎ去っていく──『タタール人の砂漠』 by ディーノ・ブッツァーティ - 基本読書
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    dowhile 2015/08/21
  • SFまで10000光年 by 水玉螢之丞 - 基本読書

    SFまで10000光年 作者: 水玉螢之丞出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/07/23メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る絵と手書き文字で彩られたページはいつも独特な雰囲気を漂わせ、当たり前のようにそこにあったのでこの先もずっとあるものだと思い込んでしまっていたが、終わるときは終わってしまう。書『SFまで10000光年』は昨年の12月13日に亡くなられた(解説、大森望さんの言葉を借りれば「最大公約数的には、たぶん、イラストレーターということになるだろう」)水玉螢之丞さんの、同名のSFマガジンでの連載をまとめたコミック・エッセイのような作品である。1993年1月号から一旦の区切りと成る2002年12月号までが納められている。SFマガジンではその後、2003年から『SFまで100000光年』と名前を変えて、亡くなる直前まで連載を続けていた。cakes.mu

    SFまで10000光年 by 水玉螢之丞 - 基本読書
    dowhile
    dowhile 2015/07/26
  • SFをもっと楽しむための科学ノンフィクションはこれだ! - 基本読書

    記事名そのまま。SFが好きなのに科学ノンフィクションを読んでない人をみると「現代の最先端科学なんて、どれもほとんどSFでめちゃくちゃ面白いのにもったいない!」と思う。こんなことを考えたのも昨日、オービタルクラウドを最近出したばかりのSFジャンルをメインに執筆している藤井太洋さんのASCII.jp:ITとともに生まれた産業革命に匹敵する質的な方法論 (1/4)|遠藤諭の『デジタルの、これからを聞く』 こんなインタビュー記事を読んだからだ。 藤井さんはデビュー作であるGene Mapperを含め、現代で可能な科学技術の延長線上に起こりえる地続きの未来描写が特徴的で、「今・ここにある技術の凄さ」が感じられるところが毎回凄いんだよなあとこれを読んでいて思い返していた。またそこで使われているアイディアは現代でもそのまま使えるものが多いし。技術的には現実が既にSFなのだ。 透明マントだって現実化して

    SFをもっと楽しむための科学ノンフィクションはこれだ! - 基本読書
    dowhile
    dowhile 2015/02/22
    SFと科学ならホフスタッター3部作を上げないのはいかがなものか
  • 図書室の魔法 by ジョー・ウォルトン - 基本読書

    すべての読書家におすすめする作品。 読書家、とりわけ小説読みは多かれ少なかれ孤独なものだ。多く読めば読むほどその傾向は深まっていく。なぜなら楽しいことがたくさんあるこの世界で文字を一人で読んで多くの時間を費やす人間はそう多くはないし、いたとしてもジャンルがかぶることは多くないからだ。日に同好の士が数千人しかいないなんてことはざらで、偶然を期待して出会うにはあまりに確率が低すぎる。 文字を読む行為が基的に他人の介在を必要としないこともあいまって、小説読みというのは孤独なのだ。とくに小学生中学生高校生の頃なんかは世界が狭いし。仮に読んでいる人がいたとしてもジャンルが重なることなんて滅多にない。それはその後も同じだけど、自由に出かけていけるからね。僕がネットに文章を書くのは自分が小学生から高校生だったころの孤独がインターネットで少しでも癒せればと思うからだ。せめてネットぐらいには孤独な読み手

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    dowhile
    dowhile 2014/05/09
    Among Others翻訳されたのか。妖精モノだけど昔のSF本の話ばかり出てくる。懐古趣味なんて評されましたね
  • Zendegi by GregEgan - 基本読書

    『白熱光』の訳者あとがきで今後のイーガンの発刊予定が書いてあったのだが、早く訳されろ訳されろと願っていたこのZendegiにはまるで触れられなかったので読んだ。次は『Orthogonal』で2015年秋だって。遠未来か!*1 もちろん早川以外から出る可能性もある(独占契約があれば違うのだろうが、イーガンに独占契約もなにもないだろう)ので絶対に出ないということもないのだろうけれど。現代パート(2012)と近未来パート(2027−2028)に分かれており、「特に説明なく人類が肉体を捨ててる」といった常識を一から構築し直す必要がない為イーガン作品の中では非常に読みやすい部類だ。 読みやすいからといってイーガンの読み味が損なわれているわけでもなく、手堅い一作。個人的にはイーガン長編作品の中ではかなり好きな部類に入る。人類がついに自身をソフトウェア上で走らせ、不死になっちゃおうぜ!! と活動を開始す

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  • 歴史は繰り返す。だが、科学は反響する。『病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘』 by シッダールタ・ムカジー - 基本読書

    男の4人に1人はがんで死ぬ。ずいぶんエンカウント率の高い敵だ。彼を知り己を知れば百戦して殆うからずと孫子はいったが、いずれ自分を殺す可能性が高い敵であるならば、突然目の前にやってきて強制的に対峙させられるその前に、敵のことを知っておくにこしたことはない。そんなようなことを考えながら「がん」についてのを時たま読んでいるけれど、上下巻で4000年以上に及ぶ人類とがん治療における歴史をたどっていく書はその中でも一番の傑作であった。 著者はインド系アメリカ人。コロンビア大学でおそらくは臨床もする助教授として血液及び腫瘍医学研究に携わっている。その為単なるがん研究者、あるいはサイエンス・ライターには書けない生身の人間との関わり合い、実感が書には通底している。目の前で多くのがん患者を亡くしてきたであろうし、打つ手がもうないのだと、助からないことを伝えなければいけないこともある。書を書くことにき

    歴史は繰り返す。だが、科学は反響する。『病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘』 by シッダールタ・ムカジー - 基本読書
  • 大森望のSF翻訳話を気になったとこだけ文字にした。 - 基本読書

    翻訳の裏ワザ 業界の裏話 どうしたら翻訳家になれるのか。などを話している第133回『大森望のラジカントロプス2.0』【ネット版】公開!: ラジカントロプス2.0 | AM1422kHz ラジオ日 を聞いていたらなんとなく文字にしたくなったので文字にしてみたり。そんなことしていいんですかね? 文字起こし、とは違うかもしれない。聞きなおしたりせずに、記憶を頼りに文字にしているのでかなり違いがあると思われる…とかなんとかいっていたら、なんだか思っていたよりも少し多く人がきてしまっているようで…。誤情報をばらまいて嘘の共通認識が生まれると言うのはまったくもって位ではないので間違いは極力ないようにします。はい。 ──翻訳において日語で読みやすいのが必ずしもいいものではないというのは? 大森望氏(以下大森):世の中には色々な文章があって、ライトノベルと芥川賞ではやはり文章の種類が違う。それらを全

    大森望のSF翻訳話を気になったとこだけ文字にした。 - 基本読書
    dowhile
    dowhile 2010/03/02