『世界の終わりの天文台 (創元海外SF叢書)』 リリー・ブルックス=ダルトン,加藤 直之,佐田 千織 東京創元社 5,000円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 広く冷たく索莫とした世界に残された小さな生の物語。 終末はあっけなく訪れた。どうやらこの地球に生きている者はほかにいないらしい。しかし、確実なことはなにもわからない。 なにしろ、主人公たちはもともと孤立していたからだ。外部とは通信でつながるだけだったが、その通信が途切れてしまった。 舞台となるのは極北の地と宇宙空間で、それぞれ一人の主人公の目を通してストーリーが進む。 ひとりめは、北極圏の天文台で隠者のように、ひたすら宇宙を観察して生きる老天文学者オーガスティン。もともとこの施設では何人もが働いていたのだが、彼を残して全員が引きあげた。戦争の噂がささやかれるなか、軍の輸送機が