マーガリンなどに含まれ心臓疾患の原因となるトランス脂肪酸の使用を、米政府が全面禁止するとのニュースが、日本でも大きく報じられた。トランス脂肪酸は欧州やアジアの国々でも使用規制や表示義務化が進み、国内でも何らかの規制を望む声が上がっている。しかし、政府は今のところ規制には消極的だ。実は、食品の安全に関する日本政府のこうした「わが道を行く」姿勢は、トランス脂肪酸に限ったことではない。農薬など他の問題でも、世界の流れに逆行する動きが目立つ。日本の食品安全行政のガラパゴス化が、顕著になっているのだ。 ネオニコチノイド問題ガラパゴス化の代表例が、ネオニコチノイド系農薬(ネオニコチノイド)の規制問題だ。それを理解するために、まず、ネオニコチノイドとは何かを説明しよう。 ネオニコチノイドは、1990年代ごろから、それまでの有機リン系に代わって急速に普及し始めた殺虫剤で、今や世界で最も人気の農薬だ。 用途