高度プロフェッショナル制度の導入が国会で議論されています。 この高度プロフェッショナル制度とは、法案として提出された当初は「ホワイトカラーエグゼンプション」として「残業ゼロ法」として批判されたものです。 今回の記事ではこの高度プロフェッショナル制度について確認していくとともに、一般的なホワイトカラー(銀行員含む)にとっての影響についてもみていくものとしましょう。 高度プロフェッショナル制度とは 高度プロフェッショナル制度における厚労省の説明 高度プロフェッショナル制度についての経営者側の考え方 高度プロフェッショナル制度の法案 高度プロフェッショナル制度の評価 高度プロフェッショナル制度とは 「特定高度専門業務・成果型労働制」、いわゆる「高度プロフェッショナル制度」とは、専門性の高い一部の職種に対して、使用者(会社)が決めた一定額の「成果」報酬を支払う制度です。 「特定」という単語が冒頭に
今回の記事は裁量労働制についてです。 政府が導入対象を拡大しようとしている裁量労働制は「定額働かせ放題」の制度であるとの批判が多くなってきているようです。 今回は、裁量労働制についての正確な内容を確認するとともに、特に銀行における問題点について考察いたします。 裁量労働制とは (ご参考)労基法の条文 既存の裁量労働制における導入背景・目的 企画業務型裁量労働制の導入におけるポイント 対象となる事業場 労使委員会 同意 銀行における裁量労働制の実態 政府が目指す企画業務型裁量労働制の対象業務拡大 裁量労働制についての所見 裁量労働制とは まずは、既存の裁量労働制がどのようなものか確認していきます。 裁量労働制とは、業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、労働時間の計算を実労働時間ではなくみなし時間によって行うことを認める制度です。 裁量労働制には、専門
今日は、労働者が使用者から退職勧奨(要するに、「退職してくれ」と言われること)を受けた場合にとるべき対応について書く。*1 退職勧奨を受けた場合、労働者がまず頭に入れておくべき基本事項は下記の3つだ。 退職しろと言われたからといって退職する義務はない 労働者が自主的に退職しない場合、それでも辞めさせたいなら、使用者は解雇をするしかない 判例上、解雇はそう簡単に法的に有効とは認められない この3点をまとめると、要するに、 労働者が退職勧奨に応じさえしなければ、(解雇が有効になるような事情がない限り)法的には退職せずに済む可能性が高い ということだ。 もちろん、法的には適法に解雇できない状況だとしても、実際問題として、もはや自分を必要としていない職場で働き続けたいのか?という問題はあるだろう。 復職が実際上困難なのであれば、最終的な着地点はやっぱり退職かもしれない。 しかし、そう簡単に解雇が認
電通の過労死事件を受けて、長時間労働についての議論がいま盛んになってきている。そんな流れの中、こちらの記事を読んだ。 www.outward-matrix.com 「長時間労働の是非」について議論をしていると、このように「残業をしたくてしている人の自由まで奪うのはおかしい」という意見がほぼ必ずと言ってよいほど出てくる。理屈としては理解できない部分もないわけではないのだけど、残念ながらこの意見には賛成できない。 この手の意見を要約するなら「長時間働きたい人には長時間働く自由を与えて、残業したくない人は残業しない自由を与える。自分の意志で自由に働き方を選べるようにすべきだ」といった感じになるかと思う。なるほど、たしかに自分の意志が最大限尊重されるという点ではかなり良さそうだ。しかし、本当にそんなことは可能なのだろうか? まず第一に、「自分の意志」を外から推し量ることの難しさを考慮する必要がある
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20161014/3505981.html 電通に労働局の調査が入ったようだ。メディアが立ち入りと同時にニュースリリース、電通の友人に聞くと特に社員にはアナウンスもなかったようだから、おそらくこの調査自体は抜き打ちでも何でもない。今後、どう対応していくかということだろう。 さて、広告代理店のおかしな勤務形態を是正するために、どうすれば良いかを中の人として率直なことを言おう。3つの問題が解決される必要がある。 ・企業文化の問題 この問題が、一番是正可能な問題と考える。 十年、二十年前と違って広告代理店も「フツウの会社」になってきているといいつつも、様々な場所で指摘されている通り、日本的企業の悪いところを極端にして集めたような企業文化であることが、広告代理店の残業が果てしなく増えていく大きな原因となっている。 例えば、徹夜
電通で入社わずか1年目の女性が過労死させられた事件。亡くなったのは共通の知人が何人もいる女性だった。今さら強制調査をしたって、彼女は返ってこない。 なぜ就活で電通が人気なのか 就活における「電通」の立ち位置は間違いなくトップである。内定者の数割はコネ入社で枠がそもそも埋まっているから、一般枠で内定するのは至難のわざ。ここでいうコネとはスポンサー企業の御曹司レベルを指すので、生まれ直さないと手に入らない。東大でも内定が難しいと言われるゆえんだ。 その一方で電通はハードな接待や残業、体育会系の社風で学生にも知られている。が、私が電通社員から実際に聞いた接待の様子を話しても「本当にそんなことあるんですか」と信じられない学生の方が多い。個人情報がバレてしまうのでフェイクを混ぜるが「アナルに栄養ドリンクの瓶を突っ込むくらいは女性でもやらされる」(20代、元電通社員)とか。もっとも、この辺はクライアン
ブラック企業にせよ、異常な就活戦線にせよ、あらゆる労働問題のキモは「そんなん言うなら辞めます」と労働者が言えないことだ。マクロでの処方箋は、人手不足を引き起こすほど景気を加熱させること。ミクロでの処方箋は、企業に頼らなくても生きていけるよう収入源を分散させること。これしかない。
先日、8月11日を「山の日」とする祝日法改正案が参議院本会議で可決、成立し、2016年から実施される。この記事を読んで、祝日の意義とその数について考えてみた。 祝日については、「国民の祝日に関する法律」(昭和23年法律第178号)に規定されており、第1条に『国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける』と書かれている。これまでは、1月1日の「元日」に始まり、12月23日の「天皇誕生日」まで年間15日の祝日があった。 今回、祝日に加えられた「山の日」は、『山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する』という目的で制定された。「海の日」は『海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う』とあり、「みどりの日」は『自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ』とある。いずれの日も自然に恵まれた国土に暮らすことに感謝の念を表わす祝日だが、国民の価値観が
ワークライフバランス(仕事と生活の調和)が叫ばれているものの、サービス残業という言葉は「一般用語」として定着した感があり、長時間労働は依然、社会問題の1つだ。そこへ一石を投じているのが機械工具商社のスギモト(兵庫県尼崎市)だ。午後6時半以降の会社居残りを禁止。残業も可能だが、年間で6時半退社の達成率はほぼ100%に近い。かつては常態化していたという長時間残業を一掃。労働時間を減らす一方、従業員の満足度向上で好業績を維持している。すべては従業員の満足度向上のため 「さぁ、そろそろ帰るぞ」。午後6時15分、スギモトの本社。管理職がイスを立ちながら呼びかける。徐々に帰宅準備にとりかかかる人、追い込み作業に入る人…。6時半を過ぎると、オフィスからぱったりと人影が消えた。スギモトの日常的な風景だ。 無論、やむを得ない場合の残業は認められているが、6時半以降の残業実績は年間通算でわずか数日にとどまる。
先月で残業代0の会社で働いて3年が経った。 いわゆる裁量労働の年棒制というやつだ。 前職はいわゆる普通の中堅企業のホワイトカラー。 当時は残業代はバッチリ付いていたので、 今の会社に転職する時は正直ブラックなんじゃないかと ビクビクしてた。 で、実際に入ってみたら今まで働いてきた環境と 全然違ってた。良くも悪くも残業代があったころよりも 充実してたりする。正直、今では自分は残業代の無い 仕事のほうが向いてるなと思っている。 もちろん今の会社が自分にとって良いだけで、 世間一般にはブラックは山ほどあるんだろうけど 残業代0でも楽しく働けるんだ。というのを書いてみる。 ◯残業代あると、自分の賃金を残業代込みで考えてしまう。 前職では、残業代を含めた上で年収を計算していた。 なので、残業禁止令が出た時には社内は皆ブーイングの嵐。 実際に年収が100万近く下がるという衝撃もくらった。 にも関わらず
2013年12月01日23:30 新卒入社試験の受験料制度を合法とするための条件(厚生労働省による行政指導を受けての追記あり) カテゴリ法務_労働法務 businesslaw Comment(0)Trackback(0) 本日12月1日から就職活動解禁だそうで、早速街にはリクルートスーツ姿の就活生があふれていました。そんな中、ドワンゴさんが新卒入社試験に受験料を徴収する件が話題になっています。ドワンゴさんぐらいの人気企業だと、こういうことやってもきっと応募がガンガンくるわけで、うらやましい限り。 ▼新卒入社試験の受験料制度導入について(ドワンゴグループ 新卒採用ページ) ドワンゴさんらしいインパクト勝負のこの制度に、早速ネットでは「こんなの法律的にOKなの?」と賛否両論あるようです。 私見ではありますが、今回のような応募者の本気度を測るためにお金を払わせるというやり方は、違法とならないよう
長く働いていた外資系(アメリカ系)の会社を辞めてほぼ3年。まったく英語を使わなくなった。 「日本って、今でもこんなに英語が不要な社会だったんだ」とは驚いたけど、それはそれで「まあ、いいんじゃないの」と思ってます。 だって今どき母語だけで暮らしていけるなんて、すごく恵まれた国だってことだから。 「英語が話せない人と、まともな仕事につけませんよ」みたいな小国と比べて、平和で呑気でいい感じ。 なんだけど、ここ3年、どっぷり日本社会に浸ってみて感じるもうひとつ別の欠如については、「これはちょっと深刻な問題だしょう」と思えます。 それは・・・「生産性の概念の欠如」 日本って「生産性」という概念があるのは、工場の中だけなんじゃないの? それ以外のところ、たとえばメディアや公的部門、さらには民間企業のホワイトカラー(管理)部門から営業まで、 「この人たち、もしかして生産性っていう概念を全く持たずに働いて
今日のツイッターでは、今野氏をはじめまたブラック企業の話が盛り上がった。ブラック企業については、城氏が指摘するこの記事がほぼすべてであろうとおもう。私もこの意見に賛同する。 そこで、こういった状況をまとめて、非常にわかりやすいマトリクスにした。 これを見ればブラック企業論がたちまちにわかる(はず)。 なお、この記事を公開後、今野氏より、このマトリクスは今野氏が雑誌に掲載したものと一緒だという指摘*1と、ブラック企業のところは今野氏の本に同様の記述がある旨の指摘*2をうけた。 このマトリクスは朝の議論をよんで、先ほど考えたマトリクスであるが、同じものが以前発表されているということは、もうこの話は私が知らなかっただけで、当たり前のフレームワークなのかもしれない。 まずマトリクスの横軸を説明しよう。 横軸は、「雇用の保障」。一言で言って終身雇用を提供するかしないかである。 マトリクスの縦軸は、「
2013-06-01 「疑わない」という怠惰について http://www.watanabemiki.net/journal/post-475.html 読んだ。 ちなみにクソ長いです。 正直、真正面から罵倒したいような気分がないでもないっていうか、別の場所のブコメではほぼ罵倒に近いブコメをつけた。俺はこの人はバカだと思う。バカが言い過ぎなら、考え足らずといってもいい。 ところで、いまの流れだとこの人のことをバカであるとする意見のほうが賛同を得やすいはずだ。しかし俺はひねくれた人間なので、ここで読む人に再考を促す。俺は自分の意見を書くが、それを読んだうえで、もう一度考えてほしい。みんながこの人を叩いていいっていうそういう流れになってるからこの人を叩いているのか、根本的にこの人の言ってることがおかしいから反論されるのか。それとも、実は正しいのは彼であり、俺のほうがまちがっているのか。 まず、
2014年3月に大学を卒業する学生向けの就活イベントが、今日から解禁とのこと。 私が就活に関心があるのは、それが“最も機能していない市場の例”として典型的だからです。 ご存じのように、私はたいていの場合、市場原理を支持しています。 → “There is no alternative to market” ちなみに、この“市場原理”がもっとも極端に機能しているのが(皮肉なことに)弱者保護の世界です。 → “私的援助市場に見る市場原理” 現在の就活市場は、“最も巧くいっていない市場例”と言えるほど滑稽な状態になっています。 もし私が(今)大学生なら、こんな市場にはまず参加しないだろうと思えるほどのヒドさです。 なぜこの市場は、こんなにも機能していないのでしょう?? その理由は、大学入試と比べれば明確です。今、大学受験市場は、就活市場よりは遥かに巧くまわっています。 「100社受けたけど、どこ
「合計10回の面談で精神的に追い込まれ、自殺すら考えた」 NECグループで教育関連の職場で働く男性(44)は、今年5月から始まった退職勧奨を振り返る。 「君にやってもらう仕事はない」「残ってもどこの職場になるかわからない」。最初3回は直属の上司との面談だったが、4回目からは役員と人事担当者が現れた。その後7回、時に2時間を超える退職勧奨の繰り返しに、体重は5キログラム以上も減った。 東京労働局に申告したことで会社に指導が入り面談こそ止んだが、その直後、上司から罵声を浴びせられた。「お前は何をやったかわかっているのか、本社の人事も怒っているぞ」「お前に信頼できる仲間なんていないぞ」・・・。その後もサービス残業の強要などが続いているという。 執拗な退職勧奨も「あくまで希望退職」 「今回の退職勧奨の特徴はその執拗さだ」。男性が加盟する電機・情報ユニオンの森英一書記長は解説する。同社では従来、退職
就活問題・労働問題・教育問題などをとことん考察していくブログ。たまに、就活生・労働者を擁護する言説を批判することも。「日本の就活って何だかおかしい!」と漠然と感じている人から「就活のおかしさをきちんと勉強したい」と考える人まで是非御覧下さい。 23日のハートネットTVで「若者を追い詰める“ブラック企業"」という番組が放送された。僕は生で見れなかったのだが、togetterで放送内容がまとめられており(http://togetter.com/li/394891?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter)、それが理解の助けとなった。 番組では全体的に、「企業が、新卒で入社してきた若者を使い捨てるケース」を取り上げているような印象を受けた。「会社から退職勧奨が何度もある。精神的に参ってリストカットしてしまった」と嘆く「新卒切り」にあいそうな女性。正社員と
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