[第21回] 災害をどう伝えるか―― 「日本語の壁」との戦い 築島稔 Minoru Tsukishima+GLOBE編集チーム 東日本大震災のような経験のない災害の実情を海外にどう伝えるか。必要な支援を求め、過剰な不安を抑えるためには、時を逃さず正確な情報を発信する必要がある。そこには、日本語だけでは海外に伝わらないという言葉の壁との戦いがあった。 水色の旗が、ビルの廊下に置かれていた。 東京・渋谷にある国際協力機構(JICA)の研修施設。東日本大震災の直後から、ここが国連災害評価調整チーム(UNDAC)の現地本部になった。 部屋の中では、数人の外国人と日本人がパソコンや電話に向かい、情報収集や被災状況を伝える英文リポートの作成を急いでいた。テレビには英BBCニュースが流れ、福島第一原発事故を伝えている。 壁には東北地方の地図が貼られ、ホワイトボードには各国の緊急援助隊の活動状況を示す一覧