わすれもの、うせものがたえない毎日を送る忘却散人(飯倉洋一)のブログです。2008年3月スタート。日本近世文学。 軽い読み物として、推敲もなしに書いていますので、学術論文などへの引用はお控えください(どうしてもという場合は、事前にコメント欄にでもご連絡下さい)。エッセイなどでの引用やSNSなどでのリンクはご自由にどうぞ。 岡山大学文学部研究叢書29として出版された『江戸時代三都出版法大概―文学史・出版史のために―』(2010)は、山本秀樹氏の書き下ろしである。 「三都」となっているのがポイントである。従来の文学研究においては、江戸の町触れのみを根拠として「幕府」の出版法を理解して来たが、京には京の、大坂には大坂の町触れがあり、出版を例にとっても、それらはむろん共通のところもあるが、それぞれ個別に独自な部分が大きく、ひとくくりにはできないという。 さらに、その町触れの背後に、立案者個人の倫理