先日、フランス人の研究者と話をしたところ、「「日本学」や「国際日本学」という学問の分野が何故日本で成り立ちうるのか」という点が話題になりました。この人がいうところでは、「フランスの大学には「フランス学」や「国際フランス学」はないし、イギリスの大学にも「イギリス学」や「国際イギリス学」はない。それにもかかわらず日本の大学には「日本学」や「国際日本学」という分野がある。「日本学」や「国際日本学」を地域研究のひとつと捉えるなら、日本人が日本を地域研究の対象にするということは適切なのだろうか」とのことでした。 確かにこれは重要な問題であるといえるでしょう。ルース・ベネディクトの『菊と刀』やエズラ・ヴォーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』、あるいはカレル・ヴァン・ウォルフレンの『日本――権力の謎』といった本が出版された国ばかりでなく日本国内でも広く読まれ、様々な面で影響を与えている、という事実を