和歌山県出身で世界的な民俗・博物学者、南方熊楠(みなかたくまぐす、1867~1941)が友人らと写った写真の原板となるガラス乾板計503枚が見つかった。南方熊楠顕彰館(同県田辺市)が14日に発表した。 ガラス乾板は感光する乳剤をガラス板に塗ったもの。フィルム普及前の明治~昭和初期によく使われた。顕彰館職員が2012年2月から田辺市立図書館の資料を調べて発見。森の中に立つ熊楠を撮った「林中裸像(りんちゅうらぞう)」や親交のあった画家の川島草堂、熊楠の日記にも登場する写真家の辻一郎が写ったものもあった。熊楠と少年1人が並んだ写真「南方熊楠牟婁(むろ)新報社工員」のガラス乾板も見つかり、元々は少年ら9人との集合写真の一部だったことも判明した。 熊楠は当時政府が進めた「神社合祀(ごうし)」で木々が伐採されることに強く反対。神社の意義を伝えるため、親交があった辻に写真を撮らせて各地に送るなどしていた