繰り返される反日デモと、尖閣諸島周辺への領空・領海侵犯、共産党の一党独裁政権による民主化運動弾圧、中国バブルの崩壊ーー。われわれが日本国内で耳にする中国の情報は、どうしてもネガティブなものが多くなりがちだ。事実、中国を「嫌い」と感じる日本人は、すでに8割を超えているとの世論調査もある。 だが、こうした困った隣国・中国に、わざわざ住む日本人たちがいる。統計上、その人数は実に14万人余り。中国は、アメリカに次いで世界で2番目に邦人数が多い国でもあるのだ。 昨年12月15日、角川書店から刊行された『和僑』は、こうした在中日本人たちの姿を余すところなく描写した本である。書中で登場するのは、副題にある「農民、やくざ、風俗嬢」から、日中友好活動家や大企業の現地駐在員まで含めた、年齢も収入も職業も多種多様な人々ばかりだ。 彼らが現地に住むことで見えてきた中国とは何か? また、中国から見た日本はどういうも