雑誌の図書館として知られる「大宅壮一文庫」(東京都世田谷区)が、赤字運営を続けている。マスコミ関係者の利用が多く、出版市場の縮小やインターネットの普及で来館者が減っているためだ。4月からは資料のコピー代を約15年ぶりに値上げした。 「赤字軽減とデータベースの改修にお力添えいただきたくお願いいたします」。京王線八幡山駅から徒歩数分。地上2階、地下2階建ての大宅壮一文庫の入り口には、コピー代の値上げ(白黒が52円から54円)に協力を求める「お知らせ」が張り出されていた。 文庫は評論家の故・大宅壮一氏(1900~70)の遺志で、氏の雑誌コレクションを元に71年、自宅跡地に開館した。「一億総白痴化」や「恐妻」など、数々の造語を生み出した大宅氏は博覧強記で知られ、雑誌を中心に約20万冊を収集。55年のインタビューで、自身の蔵書についてこんなふうに答えている。「僕は本を集めるんでもだな、図書館にあるよ
理工系の国立大、東京工業大学が、中島岳志、池上彰、磯﨑憲一郎の各氏ら著名な人文社会系学者、文化人を、次々と教授陣に招き入れている。全国的に文系学科を巡る状況は厳しくなっているが、東工大はリベラルアーツの充実で志のある学生の育成にあたるという。鶴見俊輔、江藤淳ら、ビッグプロフェッサーを擁した伝統が改革を後押ししている。 4月の東工大大岡山キャンパス。今年の新入生1135人が約30人ずつ40クラスに分かれ、「東工大立志プロジェクト」と銘打った授業に臨んでいた。 「楽しみにしていました。去年からずっと準備していたんです」。そうあいさつした中野民夫教授(コミュニケーション論)は、日本にワークショップの概念を広めた元同志社大教授。 「人間性、社会性を広く養って志を育ててもらおうと思います。リベラルアーツは大学1年から博士課程まで続きます」 この日は4、5人ずつ7グループに小分けした後、自己紹介、大学
国内で相次ぐ研究不正を受け、実践的な研究倫理の守り方を普及させようと、一般財団法人「公正研究推進協会」(会長・吉川弘之元東京大総長)が4月に設立されることが15日、決まった。研究倫理を研究者自らが高めていくための組織で、国内初の試みという。 同協会は研究倫理についてウェブ上で学ぶシステムを運営するほか、大学や研究機関で倫理教育を担当する研究者を対象に講習会を予定。海外の大学とも連携し、研究倫理に関する世界標準を広めていくという。 国内では、製薬大手ノバルティスファーマの論文不正事件やSTAP細胞論文問題などが続き、昨春以降、文部科学省の指針により大学や研究機関に倫理教育の責任者を置くことなどが求められている。 しかし現場では、実際の倫理教育に必要なノウハウが不足しており、統一的な倫理教育を可能にする組織の必要性が指摘されていた。 <アピタル:ニュース・フォーカス・その他> http://w
教育社会学者の竹内洋・京大名誉教授に「教養」について聞いた。 ◇ ――文科省が国立大学に対して、人文社会科学系などの学部・大学院の廃止や転換に取り組むよう通知しました。 神学など虚学を教える場として始まった西洋の大学と異なり、日本の国立大学は明治以降、実学が中心だった。そういう中でも文学部は細々と維持されてきたのに、今それがたたきつぶされようとしている。 グローバル競争に勝つのに、このままでは日本がダメになると脅迫されているようだ。科学技術一本に絞り、理系に予算と人員を持っていきたい意図がはっきりしている。夢がない。そんなことでグローバル競争に勝つのかも疑問だ。 (たばこを吸うために席を外して戻ってから)人文知はたばこみたいやな。大学では吸うなと、居場所がない。嫌煙権ならぬ、嫌教養権だ。 ――人文知は役に立たないと思われているのでしょうか。 「実用知以外はいらん」という風潮がある。でもね、
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く