岩手県山田町で特産の「いか徳利(とっくり)」作りが最盛期を迎えている。同町の水産加工会社「木村商店」では、天日干しされたイカがくるくると回りながら寒風の中を舞っている。 内臓などを取り除いたスルメイカに空気を入れて徳利の形に成形し、固くなるまで乾燥させる。熱かんを入れるとイカの風味が溶け出し、まろやかな味に。徳利として楽しんだ後は食べることもできる。 県内に唯一残る生産業者の同社は2011年3月、東日本大震災による津波で被災したが、木村トシ社長(74)が避難所で記憶を頼りにレシピを書き起こして約1カ月後に生産を再開。「何十年も続いてきた商品。やめてしまったらもったいない」と作り続ける。 生産の最盛期は3月ごろまで続き、道の駅やインターネットなどで販売される。【渡部直樹】