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ブックマーク / cruel.org (16)

  • ISISについて:池内恵と対談

    イスラム国躍進の構造と力 『公研』2014年10月号 「対話」 池内恵 VS 山形浩生 山形:イスラーム国の人たちの言動や行動を見ると、ずいぶんと前近代的で昔に戻ったかのような印象を受けます。その一方で彼らの意識には、中東の民主化への動きとも言える「アラブの春」が大きく関係しているのだと思います。池内さんは今回のイスラーム国の登場と「アラブの春」の関係をどのように捉えていらっしゃいますか。 池内:「アラブの春」が一回りしたことで中東地域に生まれた環境は、イスラーム国にとって非常に都合の良いものになりました。その環境と言うのは、中央政府の揺らぎ、弱体化であり周辺領域の統治の弛緩です。そこに、元来イスラーム国が依拠するイスラーム過激派の戦略論がぴたりと合わさった。9・11テロに対して、アメリカは大規模な対テロ戦争を展開し、イスラーム過激派は軍事的にも情報的にも経済的にも追い詰められました。それ

  • イケア (IKEA) の企業構造について:追加コメント

    まったくきみたちは世話がやける:イケアの企業構造は、そんな人倫にもとる代物ではないのですよ (Part 1) 山形浩生 (hiyori13@alum.mit.edu) イケアは、異様な企業構造で税金回避をするのはちょいとアレではありますが、それは事業の善し悪しとは関係ないし、儲けの源泉でもないのだよ。 なんかイケアの企業構造を説明したあのエッセイは、はてなブックマークでも結構な人気で訳者/解説者冥利に尽きるんだが、どうもその反応を見ると必ずしもきちんと理解してもらえていない部分があるらしい。 特に、絶対にやってはいけないまちがいをしている人を結構見かける。「イケアはこんな手口を使ってるから儲かってるのか!」と思った人が結構いるようなんだ。「連中はこんな不当な手を使って儲けてるのか、汚いぞ!」と思った人とか。「イケアの暗黒部分」とか「これはひどい」とかいうコメントが結構ついているじゃないか。

  • CUT 2003/02 Book Review

    マグル科学の魔術的起源と魔術界の衰退に関する一考察。 (『CUT』2003 年 7 月) 山形浩生 近年におけるマグル科学の進歩には著しいものがある。過去数世紀――われわ れ魔術師においてはほんの2世代ほどの間――にかれらの科学が実現した各種成 果の驚異についてはここで改めて述べるまでもないであろう。電球や電話といっ た道具は、マグル科学のほんの片鱗でしかないが、それが一部の魔術師たちをも 魅了するとともに、便利に利用されていることはまぎれもない事実である。もち ろんこれらを上回る魔術は存在するものの、日常的に利用できるものではなく、 このため魔術界では未だにランプや伝書動物などの前近代的なツールが生き残っ ている有様である。 その一方で、学問としての魔術の進歩はきわめて遅々たるものであったと言わ ざるを得ない。手法的な面においては、マグル科学における体系的な実験・検証 手法はまったく採用

  • GQ コラム 2011/09

    『高度一万メートルからの眺め』 連載 15 回?? 原発研究を続ける必要性 月刊『GQ』 2011/09月号 要約:今後、原発を処分するためにも原発研究が必要じゃないか? そうでないと、だれがいまある原発を終わらせるの? まだ福島原発事故の後処理は当分続きそうだが、今後原発をどうするのかという議論(というより議論の不在)は未だに続いている。でもそのほとんどは、中身を考えないお題目だけの原発反対か、単なる現状維持の原発賛成のみ。 ぼくは「原発反対」という人々が何に反対しているのか、よくわからない。ぼくは耐用年数のすぎたポンコツをだましだまし続けるのには反対だ。そしてそんな基的な工学原則も徹底できない、いまの愚かな関係者たち(いわゆる原子力村)にも反対だ(そしてたぶん後者のほうが大問題だ。これは老害の一種だから)。 でも、核分裂を使うエネルギー源すべてダメとは思わない。福島の原子炉なんかより

  • 経済フォーカス:労働市場を改善するには。

    (The Economist Vol 379, No. 8475 (2006/6/17), "Economic Focus: Intricate Workings," p. 86) 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 失業を改善するには、各種政策を慎重に混ぜ合わせねばならない。 OECD の新しい雇用戦略 12 年前に、OECD は『雇用戦略』 (Jobs Strategy) を発表した。これは政府(おもにヨーロッパの)が、高止まりしている失業率を減らすのに使えそうな提言を一覧にしたものだ。それはごく短いものだった。ポイントは10点、そして 200 語以下だった。今週、OECD はこの戦略を「述べ直した」が、長さは 6 倍、提言ポイントは20点、そしてそれが4つの「原則」のもとに置かれるようになった。追加の文言は、一部はただのお飾りだ。が、一覧が長くなった理由の一部

  • 祈りと救済の経済学:『お寺の経済学』補論

    補論:祈りと救済の経済学:『お寺の経済学』解説 山形浩生 中島隆信『お寺の経済学』(ちくま文庫) 解説) 要約:書で述べられているお寺の奇妙な部分の根幹には、それが取引する基的な財である救済と祈りの特殊性がある。それは信仰という非金銭的な経済関係であり、フリーソフトなどを律する経済と同じだ。それと商業経済との関係はいま大いに注目されており、それをどう区分するかが両者の共存では重要だ。お寺にも同じ原理があてはまるかもしれない。 お寺とそれを取り巻く活動は、日人の多くが知っているつもりで実はあまりよく知らないものだ。書はまる一冊かけてその風変わりな部分を分析し、そしてそれが歴史的・制度的な枠組みの中では十分に合理性を持つことを説明したおもしろいだ。 その詳細は書を実際に読んでいただけばいいのだけれど、ぼくなりに整理してみると、お寺をめぐる経済学の特殊性は、次の三点から生じている:

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    elbat 2010/11/29
    よかった。
  • 『商人道ノススメ』はおすすめできません

    『商人道ノススメ』はおすすめできません:枝葉の批判 (2009/08/06, 8/11追記) 山形浩生 要約:松尾『商人道ノススメ』は、まず商人道なるものがあまりに一般的すぎ、実はそれと対比される武士道と具体的な中身は似たり寄ったり。目新しいところがまったくない。そして批判の対象となる身内主義や「大義名分/逸脱の仕組み」は、多くの事例でうまく機能して成功してきた。それをまったく無視して、「ある制度はだめ! これからはこっちの制度!」とやるのは、構造改革論者やグローバルスタンダード崇拝者やその否定論者と同じでは? そしてその論証の薄さは、書が実は商人道の主張よりはプロパガンダを重視しているだということを示している。 目次 序 「商人道」と「武士道」の中身とは? 「ナントカ主義と経済発展」みたいな議論の危うさ 身内主義って当にダメですか? いまの社会がすでに開放個人主義って当? 「大義

  • "The Billionaire Who Wasn't" Review

    無一物の億万長者:ビジネスと慈善 Conor O'Clery, The Billionaire Who Wasn't (Public Affairs, 2007) (『一冊の』2008 年 1 月号 pp.26-7) 山形浩生 要約: 日人の団体ツアー観光客が必ず立ち寄った、ハワイや香港のDFS創始者は、億万長者になったがそれをすべて寄贈して財団を作り、絶対匿名を条件にすさまじい慈善を展開した。その慈善もビジネスマンのセンスを縦横に活かし、当に価値あるプロジェクトを見事に選びだして見事な効果をあげている。金持ちになっても金に執着せず、家も持たずエコノミークラスしか使わないチャック・スウィーニーの伝記は、財産とビジネスと慈善の関係について読む者に考えさせずにはおかない。 香港、ハワイ、その他の観光地にいくと、赤丸の中にDFSと書かれた免税店デューティーフリーショッパーズというのがある。

  • 良薬口に苦し、ってほんと?

    良薬口に苦し、ってほんと? ――不景気対抗策の過去、現在 (text onlyで読みたい人は こちら へ) 昔むかしのこと、人口の密集したとある島国がありました。自然資源のとぼしさにもめげず、はたらきもので利口な彼らは、世界の主な工業力のひとつにまでのし上がりました。けれど、やがて魔法の力の効きめが切れるときがやってきました。加熱した好景気が、10年近くも長引く不景気にとってかわられたのです。かつては経済職人とまでよばれた国でしたが、消えた栄光のシンボルになってしまいましたとさ。 国の病気の原因とその対策について、論争がいつも大荒れになるのはしかたないよね。経済の後退が深い構造要因のせいだと見る人は多くて、たとえば変わりゆく世界に対応できない制度とか、新たなテクノロジーを使う機会を逃してるんだとか、全体的に硬直していて柔軟性が足りないんだとかいわれたりする。 でもちがう意見の人もいて、彼ら

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    elbat 2008/09/08
    日本の不景気は、戦前のイギリスの状況と同じ。
  • SIGHT 05 (2000 Autumn) 「福祉、家族、セックス。」ゲスタ・エスピン=アンデルセン『ポスト工業経済の社会的基礎』(桜井書店)ベイカー『セックス・イン・ザ・フューチャー』(紀伊国屋書�

    福祉、家族、セックス。 ゲスタ・エスピン=アンデルセン『ポスト工業経済の社会的基礎』(桜井書店) ベイカー『セックス・イン・ザ・フューチャー』(紀伊国屋書店) 山形浩生 いまのアメリカ大統領戦でも大きな争点の一つだし、ある人はいまの日の不況の当の原因もそこにあるというのだけれど、いま世界の先進国は高齢化しつつあって、一方それに対する社会保障の破綻は目に見えてきている。年金や社会保障のもとの想定とはうらはらに、先進国の人口は減少トレンドに入ってきている。資産運用も、年率5%でまわせる安全な資産なんてない。 というわけで、どうしよう。さらにもう一つ。世の中年寄りは増えているけれど、それだけじゃない。年寄りだけを楽にしたら、ほかのところにしわ寄せがいくだけで、そんな状況は絶対に続かない。だから社会全体としてどうまわすのか、ということをきちんと考えないと話にならない。これは要するに、社会全体と

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    elbat 2008/08/19
    読みたい本
  • クーリエ連載;エコノミスト紹介、自由のためなら人が死んでもいい

    (『クーリエジャポン』2007/12号 #38) 山形浩生 この連載の開始時に、『エコノミスト』がえらいのはかれらにちゃんとした主張があるからだ、と述べた。多くのメディアは、たとえば朝日新聞や『諸君!』などのように明らかに特定の立場がある場合ですら、客観公正中立というポーズを一応は保とうとする。自分の立場や主張をきちんと述べることはない。 そしてまた、それは当のメディアにとってもよいことなのかもしれない。一部の新聞には「社説」という欄があって、自分たちの立場を一応は表明しようとしている。でもそこに書かれるのは通常はその新聞の中で最もどうしようもない駄文で、まともな理屈もなければろくに勉強した形跡もない、単なる年寄りの変な思いこみが書かれているだけのケースが多い。 だが、この雑誌はちがう。それを如実に見せつけたのが、次の一文だった。 自由の当のコスト 「やつらはわれわれの自由を憎んでいるん

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    elbat 2008/04/03
    すごい。エコノミストの論説も、この山形さんの論説も。
  • わかりやすさは、ただの表現技術の問題ではないのだ。

    (『ダ・カーポ』(2002 年 4 月, ダ・カーポ)p.21) 山形浩生 いま、日はいろんなところで閉塞感がただよっている。それは各種の領域で、人々が自分のことば世界に閉じこもっているのも一因だ。官僚は官僚語だけで話し、そこから出てこようとしない。外交コミュニケーションの下手さ加減は言うべきにも非ず。オープンなはずの学問の世界まで、変な学閥と権益でタコツボの巣窟だ。それじゃあダメだ。これはすべて、極端な話、わかりやすい説明ができないことからきている。同じことばで、同じ中身が何百回も繰り返されるだけで、それがだんだん腐り、あるいは縮小均衡に陥る――もういたるところで見られる現象だ。もうちょっと各領域に、自分のなわばり外に対してわかりやすい説明のできる人がいれば、これはだいぶ変わるだろう。そう思わないだろうか。そこからもっと何か新しい芽も出てくるだろう。 わかりやすい説明なんて簡単だ。単に

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    elbat 2008/01/23
  • "It's Baaack!" Support Page

    『クルーグマン教授の<ニッポン>経済入門』(春秋社, 2003)サポートページ 目次 0. 書の中身 1. 関連資料 2. 正誤表 3. 追記事項 4. レビュー、感想など 0. 書の中身 解説にも書きましたが、書の中身は相当部分がすでにウェブで公開されています(細かい修正等は加えておりますが)。買う気のない方も、こちらで中身を読めます。 「復活だぁっ! 日の不況と流動性トラップの逆襲」(書 pp.11-114) 書のメインの中身です。正直いって、これだけ読んでもらえれば書を敢えて買う必要はないかもしれない。 日がはまった罠 これがそもそもの発端! 日の流動性の罠を指摘し、調整インフレ論を初めて唱えた歴史的な論文(の訳)。書には収録されてませんが、併せて読むと吉。 「日の流動性トラップ:追記」(書 pp.139-52) 流動性の罠と調整インフレ論に対する各種のFAQ

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    elbat 2006/11/21
  • Japanese Bureaucrats: What's the Story?

    (ただし掲載文はさらに改訂が加わっている。また、同誌収録の各種インタビューなどは、官僚実像理解にたいへん役立つので必読) 1. 官僚は優秀か? 次のような官僚批判を耳にしない日はないといっていい。 「戦後 50 年。日の再建は官僚主導の保護貿易によって成功したものの、一度作られた保護主義を解放することは難しく、日の改革は、10 年遅れたといわれる〜Japan-bashingから Japan-passing そして Japan-nothing とさえいわれるようになった。バブルや住専問題のつまずきはその象徴であり、官僚の中の大物といわれる官僚があいついで汚職で摘発されるのは官僚の権力とおごりの結果である〜かくて官僚主導経済を是正しなければならない」(加藤寛『官僚主導国家の失敗』東洋経済新報社、1997年) しかしながら、筆者は現在の不況の責任を官僚に負わせるとしたら、またそもそも日の経

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    elbat 2006/09/21
  • CUT 2000/01 Book Review ――『ゴミ投資家のための人生設計入門』はすごいです。

    完敗。 ――『ゴミ投資家のための人生設計入門』はすごいです。 (『CUT』2000 年 02 月) 山形浩生 (シリーズ恒例、香港のジェニファー先生がSRLの来日を期に東京にやってまいりましたので、またお話をうかがっております。) JC:おっす。いやぁ、SRLはサンフランシスコで見逃して、すっげえくやしかったんだ。まあ仕事は相変わらず不景気だから(そろそろ香港ひきはらおうかなぁ。最近は、こうして日の不良債権あさりばっか)、こういう機会にでも景気つけないとね。 で、なに、またあの「海外投資なんとか」の連中が続きを出したの? へぇ、まったく懲りない連中だなぁ。こんどは何買えって? ――いや、まあデイトレーダーがどうしたとかいうのはあったけど、今回は『ゴミ投資家のための人生設計入門』(メディアワークス)。 JC:JC:ほぅ。「人生設計」、なの? なんかこのタイトル、微妙に聞き覚えが…… ――そ

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    elbat 2006/08/25
  • CUT 1998.06

    (註:今回はお金の話なので、元 MIT 同級生ピアス仲間で香港で不動産投資顧問業をしているジェニファー・キャラハン先生をお招きしております。) おっす、ガービッジのセカンドアルバム、期待過多のせいもあるけど、いまいちだったわねー。メリハリがなくてさ。え、そういう話じゃないって? ――まず「ゴミ投資家」の説明あたりから入ろうか。 そうだなあ。『農場の少年』(福音館)でアルマンゾのお父さんが言うけど、お金は労働なのよね。投資ってのも、寝ててお金が儲かる話じゃなくて、頭を使う労働なんだってことはおさえよう。ほかの人が働くお手伝いを提供する労働。 でさ、でかい仕事には、でかいお金の手伝いがいるんだけど、10 万円いるとき、一万人に 10 円ずつ貸されたって、手伝いどころか面倒なだけでしょう。投資だって同じ。 10 円しか持ってない人なんて、かえって迷惑なの。だからホントの投資の世界では、億単位、最

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    elbat 2006/08/25
    投資を考える上で重要。メモ。
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