社会を震撼させた残忍な川崎の中学1年生殺害事件。だが被害者、加害者の少年たちの生活環境を通して見えてくるのは、母子家庭、貧困、移民政策の欠如など、幾重にも重なった日本社会の根深い問題だ。 社会につながることのできない少年たち 2015年2月20日未明、川崎市川崎区の多摩川河川敷で、中学1年生上村(うえむら)遼太さん(13歳)が亡くなった。全裸で真冬の川で泳がされたあげく、顔などを繰り返し切りつけられ、工業用カッターナイフで首を深く傷つけられたのが致命傷となった。近くに結束バンドが落ちており、膝にはあざがあった。手足を縛られ、膝をついた状態で暴行を受けたのではないかと推察された。 残忍さが際立つこの殺人に関与したのは3人の少年で、18歳の無職のAが主犯として殺人罪で逮捕された。両親と兄弟がおり、母親がフィリピン人だ。Aは高校を中退していたが、中学時代の同級生B(17歳)と、一歳年下で、別の中
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