津波で被災し救出された陸前高田市立博物館所蔵蕨手刀(わらびてとう)の地金(じがね)の組成が内陸部の蕨手刀と異なることが、盛岡市の県立博物館の赤沼英男学芸第二課長(文化財科学)の調査で分かった。古代の「海の蝦夷(えみし)」が、内陸の蝦夷と異なる文化交流を広げていたことを示す発見。14日に同館で開く講座で調査成果を紹介する。 蕨手刀は奈良―平安時代初期に使われた鉄製の刀で、柄頭(つかがしら)が早蕨(さわらび)の芽を巻いた状態に似ているのが特徴。東北地方北部の古墳から多く出土し、陸前高田市からは3振りが出土している。いずれも津波で流失したが、県内文化財関係者が土砂の中から救出。修復作業の傍ら金属考古学的解析に取り組んだ。 その結果、地金の組成、特に銅、ニッケル、コバルトの3成分が同時代の本県内陸部出土蕨手刀と異なっていた。他地域との比較から、組成の似た地金が関東から東北、北海道へもたらされた可能