東日本大震災で被災した文化財を修復する「文化財レスキュー」を続けてきた奈良文化財研究所(奈良市)は20日、修復が終わった文化財を被災地に返す作業をした。職員らが古文書などが入った約250箱を次々とトラックに載せ、トラックは東北に向かった。 文化財レスキューは震災の発生した2011年から始まった。奈文研は、津波の被害を受けた文書を大型の真空凍結乾燥機などで保存処理を施し、一つずつ手作業で泥や汚れを取り除いてきた。保存修復科学研究室高妻洋成室長は「今後もネットワークをさらに発展させ、災害時にすぐ対応できるようにしたい」と話した。(松山尚幹)