恐竜図鑑に、おさないころは心をうばわれた。ステゴサウルスやティラノサウルスの姿に、胸をおどらせたことがある。そういう想い出のある人は、すくなくないだろう。私も、人なみに、恐竜がらみの絵本などを、読みふけったものである。 だが、そこそこに科学がわかってくると、それらの恐竜図をうたがうようにもなる。恐竜たちは、大昔に絶滅した。今はひとつも生きのこっていない。現代人がうかがえるのは、化石となった骨だけである。そんな骨から、どうしてあの姿形がえがけるのか、と。 まあ、全体的なかまえは、骨がそろえばおしはかれよう。しかし、皮膚の色は、そういうわけにもいかない。赤いのか青いのか、それとも他の色か。骨からは外皮の様子が、うかがえない。なのに、図鑑はそれぞれの恐竜に、なんらかの色をあてがっている。いったい、あの色は誰がどうやってきめたのか。そんな疑問を、少年なりにいだきだしたのである。 まだある。ある恐竜
![『伊勢神宮と日本美』著:井上章一恐竜たちと伊勢神宮()](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b8c870f87aa86cc7615db40d160000cab4ebf8ff/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fcommon%2Fgendai-shinsho%2Fimages%2Fmeta%2Fgs-ogp-image.png)