2008-11-15 - 七里の鼻の小皺 - 考現学の魔法（第一回） 現代グルメ考

自分の食べたものをいちいち写真にとったり、あるいは文房具を買うたびにそれを報告したりしている類のブログを、ぼくは実はかなり多く読んでいる。それらの生活報告は、もちろん多くの場合は、端的に愚かしい。そもそもわれわれは、食事のたびに写真を撮っているような人と、なにかを食べにいきたいとは思わない。ある程度の社会的地位と教養を備えているらしい人々が、カメラの新製品や万年筆の研ぎ方、グランメゾンのメニューなどから、素朴な人生論を引き出して休日をつぶしているのをみると、これこそが生に対する不感症であり、すなわち地獄ではないかとさえ思う。カルチャー誌や趣味のブログが語るライフスタイルは、存在論を「慣れ」によって回避しているために、生きても生きなくてもどちらでもよいような時間に通じてしまうのである。三島が、さまざまな趣味をほめたたえたあとで、読書をその最高のものだと書いていたのを見たことがある。だから三島

[andoh3]

食の周辺と性の周辺の共通項。そういや、『孤独のグルメ』みたいな成熟も性的成熟に結び付けられるかも。

[prisoner022]

「欠食」か「ミシュラン」か？　「童貞」か「乱交」か？　このような二者択一が機能してしまう世界自体が、ひどく貧しいのである。