『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝：楽屋落ち』

東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう！ 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「楽屋落ち」 ６ 「死んだ父っつぁまに会わせてくんろ」 これには、お上も言葉を失った。 なるほど無理な望み、それでも大みえを切った以上、 お上の威光を引っ込めるわけにはいけませぬ。 お上はホトホト困り思案いたした。 聞けば正助は、亡くなった父親にそっくりと聞く。 それではと、 朝廷から授けられた鏡を正助に与えたのでございます。 この鏡、八咫（やた）の鏡のお写し、つまり模造品の鏡でござる。 それでも、正助にとっては初めて見る鏡、 覗き込んだ正助は、アッ父っつぁま、こんなところにござらしたけ。 感激のあまり涙にむせんだのでございます。 模造品の後

[higashimoto28]

こっそり鏡を……