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稲垣足穂、三島由紀夫、ダ・ヴィンチ…古今東西の死者たちが繰り広げる“言葉と想念のパノラマ” | 文春オンライン
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稲垣足穂、三島由紀夫、ダ・ヴィンチ…古今東西の死者たちが繰り広げる“言葉と想念のパノラマ” | 文春オンライン
『原郷の森』(横尾忠則 著)文藝春秋 本書を読んだ後で私は、国分寺崖線の下、野川沿いにある世田谷ビ... 『原郷の森』(横尾忠則 著)文藝春秋 本書を読んだ後で私は、国分寺崖線の下、野川沿いにある世田谷ビジターセンターを訪れた。この辺りが「あっち」につながっているらしい。あっちがこっちに来るのかこっちがあっちに行くのか、判然としないが、ともかくあっちこっちするという。 何も起こらない。そりゃそうだ、本書の「あっち」は横尾忠則だから開けてくる世界であって、私がここに来ればそれでここがあそこになるというわけではない。しかし、ここに来て、この荒唐無稽とも思われる小説が、まさに著者にとってのリアルなのだという感触を確かめたかった。 この崖の上にアトリエがあり、神明の森が広がっている。――原郷の森だ。そこで私も原郷の森に入ってみる。なに、簡単だ。本書を開けばよい。 原郷の森に時間はない。だからそこに物語はない。古今東西の死者たちが入れ代わり立ち代わり現われ、美術について、小説について、映画について語る。