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あまい真綿 - 傘をひらいて、空を
彼は仕事でへとへとに疲れて、彼女に連絡すると言ったことを忘れる。起きると彼女からメッセージが入っ... 彼は仕事でへとへとに疲れて、彼女に連絡すると言ったことを忘れる。起きると彼女からメッセージが入っている。昨夜どうしたの?具合でも悪い?彼は返信する。だいじょうぶ。ごめんね。だいじょうぶならよかったと彼女は送りかえす。そのようなことが何度か起きる。あなたってほんとにいいかげんねと彼女は笑う。彼も笑う。 彼の仕事は先が読めないので、彼の予定はよく変わる。彼は彼女にそれを告げる。ごめんねごめんねと彼は言う。仕事なんだからしかたがないでしょと彼女は言う。笑って言う。そのうち彼もそう思う。仕事なんだからしかたがない。それからやがて、しかたないとも思わなくなる。予定が立たないならはじめから伝えなければいいのだ。それは当たり前のことで、だから意識なんかしない。 予定がつぶれても彼女に会いたいので、時間ができた日に彼は彼女にたずねる。今日行ってもいい?彼女は承諾する。彼は喜ぶ。やがて喜ばなくなる。それは当