アンチ・エビデンス──90年代的ストリートの終焉と柑橘系の匂い

本稿は、ストリート・カルチャーの諸々の要素が、原因や責任を問われうる証拠＝エビデンスを十分残さないでたちまちに変質し霧散していくという、そうした刹那性を、今日の文化状況に抗するかたちで改めて肯定しようとするものである。2010年代の日本は、生のあらゆる面において、いわば「エビデンシャリズム」（エビデンス主義）が進展している時代ではないだろうか。 1 エビデンシャリズム批判 本稿では、エビデンス（カタカナで言われる、広い意味での証拠・証憑、質的であるより量的なものを望む傾向がある）を残し続けなければならない、エビデンスを挙げていわゆる「説明責任」（アカウンタビリティ）を果たせるようつねに準備しておかねばならない──その種の説明はしばしばひどく形骸化しているが──、という強迫的な「正しさ」の緊張感をいや増しに増すことを「エビデンシャリズム」と名づける。（1）この用語は、エビデンスが健全な議論に

[tick2tack]

過剰にエビデンスを求めることへの批判。むかしの「で、ソースは？」と同じ話かな？

[miyazakiharikyu]

必要以上にエビデンスを求めるのは、個人の責任回避が過剰になったもの…心あたりのある言い方だ

[hharunaga]

「潔癖症」の蔓延ということですかね。街中で香水の臭いがあまり感じられなくなった一方、マスクをする人は激増した。短髪が増えたのもそういう文脈かも。文・千葉雅也。

[candysearchlight]

“2015年3月末の午前11時、僕は円山町の坂を下り、Bunkamuraの脇をドン・キホーテの方へ歩き出す。薄曇りで暖かい。H&Mの口紅のようなネオンが視界に入ってくる。Book1st.があった。巨大な仏像があるという居酒屋もあったはず

[kamezo]

ここでいう「エビデンシャリズム（エビデンス主義）」には「あれでもなくこれでもない」と長い前置きがあるが、そういうあれこれを失った、異質で暴力的な「アンチ・エビデンシャリズム」が広がりそう。怖い命名。

[djsouchou]

いつ殺人鬼が現れて登場人物を殺戮するのかと思いながら読んでたら柑橘系の匂いを漂わせて終わった/不条理小説っぽいコラム

[SasakiTakahiro]

今、90年代的ストリートの形象を思い出すこと。